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リリカル遊戯王GX 第九話 学園分裂!? 腹ぺこデュエル! 「レイちゃんは大丈夫?」 なのはの問いに十代は頷いて応え、なのははほっと胸をなでおろす。 昔入院していた時の記憶が頼りの、かなり危ない手つきでの治療だったがうまくいったようだ。 「そっちも、スバル達は平気なのか?」 「うん、言うなれば極端に疲労してるってだけだからね。このまま安静にしてれば問題ないよ……ただ」 なのはの表情が暗くなる。 「フェイトちゃんとエリオは、今のままじゃ戻せそうにない。定期的にバインドを掛け直して暴れないようにするしかないね」 「……そっか」 そんななのはになんと言葉をかけるべきかわからず、十代は小さく頷いた。 状況はあまりいいとは言えなかった。 突然一部の生徒がゾンビ化し、爆発的な勢いで増殖していった、万丈目や翔といった十代と縁深く、頼りになるメンバーまでもがだ。 更にその調査に出たフェイト・エリオの二人までもゾンビ化してしまった、今は拘束しているが、直す手段はない。 レイの救出には成功したものの保健室は倒壊、医療の知識がある鮎川もゾンビ化、アモンやジムもデスベルトによって疲労している、更にスターズの二人も疲労困憊・魔力切れで行動不能…… ……訂正しよう、状況は限りなく悪い。 最も――フェイトとエリオに関しては手段が無いわけではない。 罠カード「洗脳解除」、全てのモンスターのコントロールを元の持ち主に戻すカードである。 他のゾンビ生徒にならともかく、精霊として存在している二人ならばこの効果で元に戻る可能性が高い、 ただ、元々使いどころの難しいカードでもあることから、現在無事な人達の持っているカードにはなかったのだ。 「……そういえば」 「何だ?」 「万丈目君って、食糧庫の見張りをしてんだよね?」 「そうだけど……あ!?」 何を言いたいのかに気づき、十代は愕然とする。 万丈目がゾンビになった……それはつまり、食糧庫もゾンビの集団のど真ん中になってしまったということだ。 更に悪いことに、なのは達の食糧も食糧庫に入れてしまっている。 「まずいぜ……これじゃ一週間どころか、三日も持たない」 「でも、どうしよう……対策の立てようが……」 ただでさえ最低限の食事によってストレスはかなり溜まってしまっている、 それさえ得られないなどということがわかったら――想像したくもない。 「とにかく、みんなには隠しておかないと……って、どっちにしろ飯の時間になったらバレちまう!」 「トメさんが少し食材を運んでたはずだから、すぐにどうなるってことはないだろうけど……」 「少しって、どれくらいだ?」 十代の問いに記憶を掘り起こし―― 「多く見積もっても、一日分……」 重い口調で呟いた…… マルタンは図書室に作られた玉座で上機嫌で微笑んでいた。 手ゴマであるゾンビ生徒はかなりの数となり、残った生徒たちも心の闇を増幅させている。 「もうすぐ……もう少しだよ、十代……」 「……十代……?」 「レイ! 気がついたか!」 目を覚ましたレイに十代とヨハンは喜ぶが、レイは逆に顔を俯かせてしまう。 「私のせいで……マルっちと鮎川先生が……」 「何言ってんだよ! レイのせいじゃない!」 「そうだ、この訳の分からない世界のせいだ。あまり自分を責めるな」 「うん……っ? あは、あはははは! ちょっ、やめ――あはは!」 「れ、レイ?」 突然笑い出したレイに二人は困惑し――不自然に盛り上がっているシーツをめくり上げる。 いつの間に入り込んでいたのか、レイの腹部でじゃれ合っていたヨハンの精霊、ルビーとはねクリボーは気まずそうに十代達を見上げていた。 「ルビー……」 「はねクリボー、何やってんだよ」 「もう……!」 ああくそ、俺と代わりやがれ淫獣共がっ 「近藤君……鈴木さん……この子も、あの子もゾンビになっちゃったノーネ……」 残っている生徒たちの点呼を取りながら、クロノスとナポレオンは肩を落とす。 頼りないが、彼らとてこのアカデミアの教師なのだ、生徒たちを想う気持ちに嘘はない。 「それに、加納マルタン君は相変わらず行方不明……」 「っ!」 ぽつりと呟いたクロノスの言葉にナポレオンはわずかに反応する。 拳を強く握りしめ、マルタンの無事を強く祈り続けていた…… スバルとティアナは眠り続けている。 剣山や明日香、なのはがたまに見に来る以外は、キャロが付きっきりで看病にあたっている。 「……ごめんなさい」 思わず謝罪の言葉がこぼれてしまう。 二人が危険な状況に陥っていることはわかっていたはずだ、それでも自分は明日香達を優先した、 なのはもここに辿りついた時の二人もその判断は正しいと言ってくれたが、フリードだけでなく自分も向かっていればここまで傷つけることはなかったかもしれないのだ。 現に剣山が助けに行かなければゾンビ達に囲まれ、彼らの仲間入りをしていた可能性が高い。 自分を責めるキャロの頭をティアナが撫でる。 「ティアナさん……? いつの間に……」 「ついさっきよ。まったく、そんな顔しないの、キャロがフリードを送ってくれたおかげで助かったんだから」 「でも……」 「あのね、明日香さん達より私たちを優先してたら、それこそキャロの事を軽蔑してたわよ? キャロの判断は正しかった、あの状況では間違いなくベストな選択だったわ、それはなのはさんにも言われたでしょ?」 ティアナの言葉にも、キャロは俯いたまま顔をあげようとしない。 ――まったく、私の周りにいる人は、どうしてこうも優しすぎる人ばっかりなのかしらね。 「キャロ、いい?」 「え?」 「あんたが今考えなきゃいけないのは、私たちのことでも、アカデミアのことでもないわ」 「え……と、それって……」 「そんなのは他の人に任せなさい、あんたは今、一番心配していることを無理矢理隠してる」 その言葉にキャロはハッと顔を上げる。 「私は二人を……エリオ君とフェイトさんを、救いたい……!」 「そう……なら、今やらないことは何? 私たちの看病?」 「いえ……ごめんなさいティアナさん、スバルさん、私、みんなのところに行ってきます!」 キャロが去っていき、ティアナは一つ息を吐いて――すぐ側から視線を感じて体を竦ませる。 「ふふふ……ティア、やっさしー」 「す、スバル……! あんた、目を覚ましてたならそう言いなさいよ!?」 「いやー、だって丁度ティアがキャロの事を諭してたからさー、何だか入りづらくって。うーん、流石ティア、いいこと言うよね~」 「――っ! 動けるようになったら覚えておきなさいよ……!」 「みんな、食事の時間だよー!」 トメさんの声に、体育館にいた全員が反応する。 例え最小限だろうが、食事というものはそれだけで人の心を安らげてくれるものだ。 ……まあ、いくつもある次元世界の中には、一口食べただけで卒倒するような料理を作る義妹から逃れるため、日夜神経をすり減らしている家庭なんかもあるだろうが。 そんな不幸な特例はともかくとして、用意された料理を見て生徒たちは動きを止める。 「何だ、これ?」 「……羊羹?」 「ごめんね……材料がなくて、スープを薄めるしかないんだよ……少しでも食感をと思って、ゼリーにしてみたんだけどさ」 十代やなのはが止める間もなく、 トメさんは食糧の絶対的な不足を話してしまう。 二人はパニックになることを覚悟するが――何の騒ぎも起こらないことに気づく。 別に騒いでも仕方がないことに気づいた訳ではない、 ただ、絶望感がパニックになる気力さえをも上回ってしまったのだ。 「みんな……」 「これうまいぜ! トメさん!」 「ヨハン?」 暗い雰囲気に包まれた中、場違いなほどに明るい声で言いながらヨハンはスープゼリーを食べていた。 それを見て、一人二人とスープゼリーへと手を伸ばし、量はともかくとして、その味には満足そうな表情になる。 「流石トメさんだぜ、うまい!」 「ありがとうねぇ、そう言ってもらえると嬉しいよ」 「ごめんなさい、私たちまで……」 申し訳なさそうに言うなのはへ、トメは首を振る。 「とんでもない! あんたたちは十代君達を守ってくれたんだろう? その上仲間が倒れてるんだ、遠慮なんてするんじゃないよ」 「はい……ありがとうございます」 そう言いながらスープゼリーが三つ乗った皿を持ってなのはは立ち去る、スバル達のところへ持っていくのだろう。 その後姿を見ながら、エリオとフェイトの分を用意してやれなかったことに悔しさを感じる。 ゾンビ化している人間が食事を必要とするかどうかはわからない、だからといって、それを理由に食糧を節約するのは彼女のプライドが許せなかった。 体育館の片隅で、三人の男が話していた。 その三人が最後まで名残惜しそうになのはの持っていった食糧を見ていたことには、誰も気がつかなかった。 ――戦いたい。 フェイトとエリオの考えていることはこれだけだった。 二人は体育用具室でバインドを何重にもかけられ閉じ込められている。 バインドを掛け直す手間を考えたら別に閉じ込めなくてもいいのだが―― まあその、なんだ、ソニックフォームで縛られているフェイトを想像してみたら理由が分かってもらえるかもしれない。 半ば力づくでバインドを破ってはいくが、動けるようになる前にバインドを掛け直されてしまう、 ――このままでは戦えない、なのは達を仲間にしてあげられない。 埒があかないと判断し、どうやってここから抜け出せるか、二人は思考を巡らせていく―― 夜、三人の男が体育館から抜け出していった。 オブライエンが組んだ監視チームの目を?い潜り、ジムや三沢が作ったバリケードの一部を崩して外に出る。 彼らが目指しているのは食糧庫、道中には当然ゾンビが大量にいるのだが――空腹の限界を超えた彼らには、そんなことまで考えていられなかった。 ただひたすらに食糧庫への道を走り続け―― 「うわぁ!?」 当然のごとく、ゾンビ達が立ちふさがる。 三人は必死に逃げるが、まるで誘導するかのように現れるゾンビの群れに堪らず側にあった部屋へと飛び込んだ。 「こ、ここは……?」 「図書室、か?」 この三人はほとんど来たことなかったが、大量の本棚を見れば大抵の人間は図書室を思い浮かべるだろう。 更に耳を澄ませてみると、奥の方から何か音が聞こえてくる。 「おい、この音」 「ああ、誰かが何か食ってる!」 音の正体に気づくと、我先にとその音源へ走り出す、 その下へと辿り着き、優雅にステーキを食べているマルタンと目が合った。 「お、お前、加納……?」 「てめぇ、姿を見せないと思ったら、こんなところで一人で呑気にお食事かよ!」 一人が怒りに任せて肉へと手を伸ばすが、その手をマルタンの異形と化した手が掴む。 怯える生徒へ、マルタンは不適に笑い別のステーキが乗った皿を前に出す。 「欲しいかい?」 「あ、ああ……食いてぇ」 「ふふ、いいよ、食べても……だけど、どれだけ食べても君たちが満たされる事はないけどね」 「ど、どういう意味だ!?」 意味ありげに笑うマルタンへと怒鳴りつける……ステーキを食べながらでなければもう少し迫力があったかもしれない。 「君たちの心の闇は、もう僕の手にある……満たされたいなら、このカードの向こうへ行くといい」 「な、何だ……?」 「融合……?」 マルタンの側に一枚のカードが現れ、三人を導くように光だす。 わずかに戸惑いながら、三人はその光へと吸いこまれるように歩を進める。 そして、そのまま―― 『やあ、十代』 「この声、マルっち!?」 突然放送で名指しされ戸惑う十代の横で、レイが驚きの声を上げる。 「マルっち、どこにいるの!?」 『マルっち……? その呼び方はやめてもらいたいな、それに、今僕は十代と話しているんだ』 「……俺に何の用だ?」 何か危険な空気を感じ、警戒しながら十代は問いかける。 『別に大したことじゃない、少し取引きをしようと思ってね』 「取引き……?」 『君たちは今、僕が支配している生徒たちによって動きが取れない、特に食糧は残りわずかなんじゃないかな?』 「っ! お前が翔達をあんな風にしたのか!?」 『こちらには有り余る食糧がある、それを提供してもいいよ』 マルタンの言葉に生徒たちが活気づく。 だが、十代達は厳しい顔つきでここにはいないマルタンを睨みつける。 「それで、代わりに何を要求する気なの?」 『変電施設、あそこをこちらに譲ってほしい』 「……? あそこは砂で埋もれて使い物にならないぞ?」 「兄貴、いい条件ザウルス」 意図の読めない取引きに十代やなのは達は警戒を更に強めるが、 他の生徒はとにかく食糧を手に入れるチャンスだと深く考えずに乗り気になってしまっている。 「兄貴、交換しちゃうザウルス」 「……いや、捨てるには惜しい場所だ、まだ復旧させられる可能性もある」 「それに、相手が欲しがってるってことは、そこを使って何かを企んでいるってことでもあるからね」 みんなの意見を聞きながら十代は悩み――口を開く。 「取引きには――応じない!」 「なっ!? ふざけるな十代!」 「食糧が手に入るんだぞ!」 周囲の生徒たちが次々と罵声を浴びせるが、十代は不適な笑みを浮かべて叫ぶ。 「だが、その二つを賭けてデュエルで勝負だ!」 『ふふ、そう言うと思ったよ、十代……表に出るんだ、相手はすでに用意してある』 マルタンに言われ、動けないメンバー以外は全員が外に出る。 ……最も、生徒の大半は早く食糧が欲しいからという理由のようだったが。 正門のところにやってくると、見慣れぬ仮面をつけた三体のモンスターがやってくる。 「何だ? あんなモンスター見たことないぜ」 「お、おい、あれ……人間の顔じゃないか!?」 誰かの言葉に全員がモンスターを注目し直し――絶句する。 怒り・笑い・無表情とそれぞれ違う仮面を付けたモンスターだったが、その仮面とは別の位置に、見覚えのある顔が浮かび上がっていた。 「あ、あれは原田君と斎藤君と前田君なノーネ!」 「あの三人、いつの間に……!?」 『ふふふ、彼ら三人とデュエルして、勝ったら食糧をあげるよ』 マルタンの声に十代が前に出ようとするが、ヨハンに止められる。 「お前はまだ鮎川先生とのダメージが抜けてないだろう、俺が行く!」 「あの三人が抜けだしたのは俺の監視体制が甘かったせいだ、俺もやろう」 「バリケードが不十分だったのは俺の責任でもあるからな……OK! 勝負だぜ!」 ヨハン、オブライエン、ジムの三人がそれぞれモンスターの前に立つのを見て、なのはは思考を巡らせる。 はっきり言って、今のなのはに三人を援護する力は無い、 スバルやティアナほどではないにしろエクシードモード、更には非常識な量の魔力球の同時生成など無茶をしすぎた。 更に、デュエル場所をわざわざ指定してきたことも何かが引っ掛かってならなかった、 そんななのはに、キャロが話しかける。 「なのはさん、体育館へ行ってください」 「キャロ?」 「この隙にフェイトさん達の拘束を解かれたら、スバルさん達が危険です」 「っ! だけど、ヨハン君達が……」 「三人なら、大丈夫です……ケリュケイオン、セットアップ!」 強い眼差しで、キャロはフリードと共に三人に近づく。 「三人は、私が援護します!」 「キュルルー!」 続く 十代「こいつら、強い!? ヨハン、耐えてくれ!」 なのは「何なの? とても強い力が動いている気がする……ってナポレオン教頭!? いったいどこへ!?」 次回 リリカル遊戯王GX 第十話 キャロの決意! 突き抜けろスターズ! キャロ「これ以上、犠牲者は出させない!」 なのは「どうしても止まってくれないのなら、力づくででも止めてみせる!」 十代「今回の最強カードはこいつだ!」 ―ライトニング4 キャロル=ルシエ― 光属性 魔法使い族 星3 攻撃力600 守備力1200 このカードは自分の場に「エリオ」「フェイト」「フリード」と名のついたモンスターがいる場合、その枚数×200ポイント攻撃力がアップする。 このカードの攻撃力を半分にすることで、ターン終了時まで別のモンスター一体の攻撃力を300ポイントアップできる。この効果は1ターンに一度のみ発動可能。 十代「ヨハン達のことを頼むぜ、キャロ!」 なのは「次回もよろしくね♪」 前へ 目次へ 次へ
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リリカル遊戯王GX 第四話 潜水艦の罠! 打ち破れディバインバスター! 十代達は潜水艦の内部へと入り込む。 予想していた通り、人の気配がまったくしないその通路で十代は薬のメモを取り出し……顔を顰める。 「全っ然わかんねぇ」 「……貸せ、薬は俺が探す」 呆れたようにヨハンがメモを受け取り、医療関係の施設がある方向にあたりをつける。 「みんなは食料とか、他にも何か使えそうな物を探してくれ」 「なら私達はそれぞれの護衛を兼ねて分散、私はヨハン君と行くことにするよ」 各自分かれての探索、危険ではあるが、この世界ではむしろ時間をかけることの方が危険度は高いかもしれない。 だが、ティアナにとってそれはまずかった、アモンを監視することができなくなる。 ならば多少不自然になっても、先にアモンと一緒に行くことを宣言するべき―― 「ガンナーガール、毛布とかを探そうと思うんだが、ガードを頼めるかい?」 「え、あ、は、はい……」 ここで断るのは無理だ、仕方なく残るスバルに望みを―― 「じゃあ、俺は食料を探すぜ、な、相棒!」 「クリクリ~♪」 「あ、私も一緒についてくよ!」 託す以前の問題だった。ティアナは危うく頭を抱えそうになる。 誰も気づいていないがなのはも頭を抱えている、ティアナと同じ考えだったようだ。 「お、オブライエンさんとアモンさんはどうします? 危険ですから誰かと一緒に――」 「いや、俺は大丈夫だ、何かあれば生き残ることを優先する」 「僕もこう見えてデュエルだけじゃなく腕っぷしにも自信がある。心配いらないよ」 後でスバルを殴りつけようと心に堅く誓いながら、ティアナは仕方なくアモンのことを諦める。 何かをすると決まった訳ではないのだ、自分の勘違いという可能性に賭けるしかない。 そうと決まれば今は時間が惜しい、早速それぞれが目的の物を探すために分かれる。 「ここは、医療施設か?」 「そうみたいだね、保健室よりも簡単な作りだけど……あ、薬品棚はこれみたいだよ」 なのはとヨハンはメモと薬品を一つ一つ見比べながら、慎重に必要になりそうな薬品を置いてあった医療パックに入れていく。 そんな作業の中、なのはは疑問に思っていたことをヨハンへと尋ねる。 「ねぇ、ヨハン君」 「はい?」 「どうしてあの時、十代君を止めてデュエルをしたの? 私達が来る前にもヨハン君はすでにバトルをしていた、 なら消耗をより深くするのは得策じゃない、それぐらいなら、ヨハン君は気づいてたと思うの」 なのはの問いにヨハンは沈黙する。 しばらく薬品を選別する作業が続き――口を開く。 「この世界でのデュエルは危険を伴う事は気づいていたんだ」 「だから、他の人が傷つくより自分が傷つく方がマシだ、って?」 「結局スバルを傷つけちまったけどな、俺の力が足りなかったせいで……」 「違うよ、ヨハン君の考え方は違ってる」 なのはの言葉にヨハンは首を傾げる。 「今のヨハン君みたいな考え方、自分の事を蔑ろにして仲間を守ろうとする人、私は知ってる……その人は、一度壊れて落ちてしまった」 どこか遠くを見つめながら話すなのはに、ヨハンは目を奪われていた。 悲しげなその表情を止めたいと思いながら、どうすることもできない。 「ならどうしろって言うんだ、仲間が傷つくのを黙って見てろっていうのか?」 「やる事は簡単だよ、仲間を信じるだけ」 「……信じる?」 気づいたらなのはは自分の事を笑顔で見つめていた、 その笑顔の中に、なのはが伝えたい思いが全て詰まっていることをヨハンは感じ取る。 「簡単でしょ? 仲間を信じる、初めはそれだけでいいんだ」 「おーい、そっち何かあったかー?」 「んー……これも空っぽ、こっちは……あ、あった!」 十代とスバルは苦労しながらも少しずつ食料を集めていく、 はねクリボーも手伝い、十分な量とはいえないもののそれなりの量が確保できた。 「よしっ、とりあえずこっちの方はこれぐらいで戻ろうか」 「ああ……あの、さ」 「ん?」 十代に呼び止められてスバルはキョトンとした顔で振り返る。 「その、まだお礼言ってなかったからさ、ありがとな」 「お礼……ああ! そんなに気にしなくていいのに、当然の事をしたまでだよ」 「だけど、俺を助けたせいで怪我をしちまったんだ!」 「怪我なら治ってたじゃない」 笑いながら謝罪をまともに受けようとしないスバルに、十代は焦れて思わず睨みつけるように見てしまい――気づく。 スバルの表情は声とは裏腹に暗く、触れれば壊れてしまいそうに見えた。 「私は、守れなかったんだ」 「え?」 「大事な人、とっても大切な……私のお姉ちゃん」 スバルのこんな姿を見るのは初めてだった、出会ってほとんど時間は経ってないが、 どんな時でも明るく、周りの人間もどんどん明るくさせていく……そんな印象があったのだ。 「ティアやマッハキャリバーのおかげで、ギン姉は助け出すことができた」 「えっと……なら、守れたってことになるんじゃないのか?」 十代の言葉に「結果的に見れば、ね」とどこか自嘲気味に答える。 「私はまだ、あの時の気持ち、絶望感や怒りを忘れられない……その感情に任せてしまったことによる、代償も」 『……』 「あの時、私はもう少しでいくつもの笑顔を奪うことになったかもしれない。私は守れてないんだ、自分自身の思いを」 マッハキャリバーが無言で光る、十代にはその意味はわからなかった。 だからこそ、言えたのかもしれない。 「そんなの、引きずることなのか?」 「え……?」 「だってさ、スバルは姉ちゃんも助けられたし、その笑顔っていうのも結局は奪ってないんだろ? ならそれでお終い、その後は関係ないじゃん」 「そ、それは、その……そうかも、だけど」 「俺、難しい事はよくわかんないけどさ、スバルは良い奴だと思う。 過去に何があったかとかじゃなくて、今のスバルは俺を助けてくれた、それで十分だろ?」 「あ……」 スバルは何度も沈み込み、そのたびにティアナによって、マッハキャリバーによって励まされた。 その時と同じ、優しく自分の心を諭してくれる輝きを十代から感じていた。 「よっと、こんなもんだな」 「はい、それじゃあ戻りましょう」 仮眠所から持てるだけの布団や毛布を集め、ティアナとジムは元の場所へ戻ろうとする。 「……」 「どうしたんだ? ガンナーガール」 「あ、いえ、何でもないです」 ジムに呼ばれティアナは慌てて思考を目の前に戻す。 今さらアモンについて考えていてもどうしようもないのだ、下手な行動で摩擦を起こしては目も当てられない。 「……確かにアモンには俺達も掴めてない部分がある」 「――っ!?」 唐突に放たれたジムの言葉にティアナの動きが凍り付く。 ――気付かれていた? でもいつ? 憶測だけでこんな危うい言葉を言える訳がない、だけどそこまで決定的な動きは見せてないはず…… 「俺の目とカレンの勘を甘く見てもらっちゃ困るぜ」 「わ、ワニの勘……!」 一年以上かけてフェイトから学んだ執務官として必要な、自身の思考を悟られないようにする術、 それがワニの勘に敗れ去ったことにティアナはショックでその場に膝を付く。 ――ああ、やっぱり私は凡人止まりなの? なのはさんに諭された時から前に進めていないのかしら…… 「お、おい、大丈夫か?」 「あんまり……」 「ドントマインド! そんなに気にするな、このことは誰にも言う気はない」 見当外れな方向へ慰めるジムにティアナは項垂れたままだったが、かろうじて情報整理をするだけの思考能力は残っていたようだ、 「どうして言わないんですか? 疑いを持たれたままじゃ、信頼関係も築けないと思いますよ?」 「それはお互いがその本質を理解できていない時の事さ」 「……ジムさんは、私たちを理解していると?」 「Yes! もちろん全てを見たわけじゃないさ、だけどガール達は良い奴だ、それもとびっきりのな! それが判れば信頼することはベリーイージー!」 無茶苦茶だ、そりゃあ自分たちを悪人だと言う気はないが、善人だと思える部分しか見せていなかったとしたらどうする気なのだ。 無防備すぎる、こんな考えでは敵に付け入られる隙も多くなってしまう……だが、悪い気分ではなかった、信じてもらえるということは。 アモンは一人、潜水艦の情報端末を操作している。 画面には幼い頃からのアモンのデータが表示されていたが、一瞬にして消去されてしまう。 データが完全に消えたことを確認し、アモンは静かに笑みを浮かべた。 「ヨハン! そっちはどうだった!?」 「ああ、ちゃんと薬を見つけてきたぜ」 十代達は互いの収穫を確認しあい、それぞれそれなりの収穫があったことに満足する。 遅れてやってきたアモンとオブライエンに視線が集中するが、アモンはすまなそうに首を振る。 「すまない、僕はこの潜水艦がどこの物か調べようと思ったんだけど、データが破壊されていてわからなかったよ」 「そっか、でもまぁ、食糧も少しだけど手に入ったし、帰ろうぜ!」 ――情報端末に入った? 軍の物にパスワードもなく? 十代達は気にしていないようだが、ティアナはやはりアモンに疑いを持ってしまう。 しかし、幸か不幸かその疑問を行動に表す暇はなかった。 「ふふ……タイタンのカードは、一枚だけじゃないんだよ」 アカデミアの図書室、そこでマルタンは新たなカードをディスクにセットした。 潜水艦の外、そこにマルタンによって召喚されたタイタンが現れ、ディスクを構える。 「今度こそ止めを刺してくれる、行け! デビル・スコーピオン!」 タイタンがカードをセットすると、大量のサソリが現れ潜水艦の内部へと侵入していった。 ―デビルスコーピオン― 攻撃力900 守備力200 通常モンスター 「何だ!?」 「モンスター!?」 今まさに潜水艦から出ようとしていた十代達は、その入口から侵入してくるデビルスコーピオンの群れに慌てて下がる。 なのは達が迎撃するが、デビルスコーピオンは次々と侵入してきてキリがない。 「くそっ、こんなの相手にしてられるか! 守備モンスターでいくぜ、頼むぞクレイマン!」 十代が前に出て、一体のモンスターを召喚する。 ―E・HERO クレイマン― 攻撃力800 守備力2000 通常モンスター そのモンスターを盾にし、十代達は近くの部屋に駆け込み扉を閉じた。 「まずいね、出口を塞がれた……ここにもいつ来るか」 「へへ、クレイマンの防御力は2000! デビルスコーピオンの攻撃なんて効きやしないぜ……ってあれ!?」 「マジックカード、月の書! モンスター一体を守備表示にする……そして、行け、八つ手サソリ!」 ―八つ手サソリ― 攻撃力300 守備力200 効果モンスター 「どうなってんだ、クレイマンが裏守備表示になっちまった!」 「いかん!? あれは八つ手サソリか!」 オブライエンが扉の窓から様子を見て声を上げる。 デビルスコーピオンの増殖は止まったが、変わりに巨大なサソリが通路へと現れた。 「まずいぞ、八つ手サソリは裏表示のモンスターには攻撃力が2400に上がる、クレイマンでは持ちこたえられない!」 「嘘だろぉ!?」 思わず叫んだ次の瞬間、八つ手サソリの攻撃でクレイマンは吹き飛ばされ、その衝撃で十代達がいる部屋の扉も破壊されてしまう。 一斉にデビルスコーピオン達が部屋に入り――無数の魔力球に撃ち抜かれる。 「スバル、ティアナ、なんとか通路まで押し返して、一気に仕留める!」 『了解!』 なのはの指示で二人がデビルスコーピオン達を次々と吹き飛ばしていく、 所詮は雑魚モンスター、数だけでは激戦を潜り抜けてきた彼女達を止めることはできない。 そして、それほど時間が立たない内に相手は全て通路へと押し戻され、なのはが一歩前にでる。 「いくよ、久し振りの長距離砲撃!」 『Divine Buster Extension』 「ディバイーン……バスター!!」 なのはの魔力砲撃がモンスターをなぎ払っていく。 しばらく待ち、もう襲ってくるモンスターはいないことを確認してほっとする――間もなく、潜水艦が揺れ始める。 「こ、今度は何だ!?」 「もしかして、今のなのはさんの砲撃で!?」 「ふぇぇ!? 私のせいなの!?」 パニックになる一同だったが、入口から大量に入ってきた砂に表情を凍らせる。 もしかしなくても――潜水艦が砂に沈もうとしているのだ。 「や、やばいぜ、このままじゃ!」 「とにかくこのままいては砂に呑まれる、逃げるぞ!」 入ってくる砂から逃げるように逆方向へと駆け出していく。 そこで十代はある事を思いつき、内部構造を調べていたオブライエンに問いかける。 「なあ、どこか入口以外に外に繋がってる場所ってないのか!?」 「……魚雷の射出口なら、あるいは」 「それでいいや! どこかわかるか!?」 「ああ、逆方向だ」 さらっと告げたオブライエンの言葉に一瞬十代の動きが止まる。 一応振り向いてみるが、すでに砂に埋もれて向こう側へは行けそうになかった。 「ちっくしょー! せっかくいい手を思いついたってのに!」 「十代君、外と繋がればいいの?」 「ああ! そうすりゃネオスでなんとかできるんだけど……!」 「わかった、任せて!」 悔しそうに言う十代になのはは自信たっぷりに頷いて答える、 どうする気か問いかける前に、ある部屋でなのはは壁に向かってレイジングハートを構えた。 「十代君、準備ができたら合図をお願い!」 「あ、ああ!」 「……まさか、壁を撃ち抜く気か?」 「馬鹿な! そんな事できるわけ……」 オブライエンとアモンが不可能だ、といった顔をしているのを、スバル達は複雑な表情で見る。 ――できちゃうんです、この人。それもこれよりずっと強固な壁を何枚も同時に。 「よし、なのはさん、いつでもいいぜ!」 「うん、レイジングハート、カートリッジロード!」 なのはの声に応えてレイジングハートが薬莢を排出し、そのたびに魔力が跳ねあがっていく、 魔力を扱えないはずの十代達もなのはの力がどれだけ凄いのかを本能的に感じ取っているようだった。 そして……なのはは溜まった魔力を一気に解き放つ! 「ディバインバスター、フルバースト!」 「ネオスとグランモールを召喚! コンタクト融合! グランネオス!」 なのはが潜水艦の外壁に穴を空け、その穴目がけて十代が召喚した二匹のモンスターが融合しながら突撃する! タイタンは沈んでいく潜水艦を見ながら笑みを浮かべていた、 八つ手サソリ達を退けたのは中々の腕前だったが、こうなってしまってはいかな力を持っていても脱出することは容易でないだろう。 つい大笑いをあげて――硬直する。 潜水艦が持ち上げられていた、 モグラの力を持つモンスター、グランモールと融合したネオスという十代のフェイバリッドモンスターが砂を掘り進んで潜水艦を砂の中から救い出したのだ。 あまりの光景に呆気にとられたままのタイタン目掛け……潜水艦をぶん投げる! 「ばっ――!」 成す術もなく――タイタンは潜水艦によって潰される。 「やったぜ! グランネオス!」 「十代……お前なぁ……!」 一人喜ぶ十代だったが、他のメンバーは投げ飛ばされた衝撃でめちゃめちゃになっていた…… 「くっ……」 タイタンのカードが消滅し、マルタンは顔を歪めるが、すぐにその表情は笑みになる。 「嬉しいよ十代……この痛みは、君の僕への愛なんだ……」 続く 十代「薬も手に入ったし、戻ってきたぜ、翔! ……あれ? 翔?」 翔「兄貴……戻ってきたんすねぇ……」 十代「しょ、翔?」 なのは「気を付けて十代君、様子が変だよ!」 フェイト「みんな、デュエルをしたらダメ! 逃げて!」 次回 リリカル遊戯王GX 第五話 ゾンビ生徒の恐怖! 駆け抜けろライトニング! フェイト「こんなこと、私は絶対に許さない!」 翔「デュエルしようよ~!!」 なのは「今回の最強カードはこれ!」 ―ディバインバスター― 魔法カード 手札をランダムで一枚捨てる。 場のモンスター一枚を破壊し、相手のデッキの一番上のカードを除外する。 十代「ど、どんだけ威力があるんだよ……」 なのは「次回もよろしくね♪」 前へ 目次へ 次へ
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リリカル遊戯王GX 第六話 最高の最悪 エリオVSスバル! 「おかしい、何故見張りがいない?」 「中で何かあったって考えるのが自然だね」 十代達はアカデミアまで戻ってきていたが、人っ子一人いないその状態に首を捻る。 荒れている様子はないため、モンスターが襲ってきて全滅……なんてことはないだろうが、 見張りを全員撤収させるほどの事態とは何なのだろうか? 言葉にできぬ不安を感じて内部に入り――動きを止める。 「な、何だ……?」 「この人達、普通じゃない……!」 「まるでゾンビだぜ!」 十代達を取り囲むように現れたゾンビ生徒たちに警戒を強める。 ゾンビ達は何も言わずにデュエルディスクを展開し歩み寄ってくる。 「何だ? デュエルしようってのか?」 「十代、あまり無用な戦いは……」 「だが、デュエルしないと通してくれそうにないな」 不気味な動きで、それでも十代達の進路を塞ぐゾンビ達に、やむ負えずデュエルディスクを展開してデュエルを始めようとし―― 突然目の前に落下してきた女性と少年に目を奪われる。 「フェイトちゃん!?」 「エリオ!?」 なのは達は思わず叫ぶ。 だが、その思考は完全に停止していた。 何故この二人が戦っているのか、何故エリオの体が血まみれなのか、 何故――ストラーダがフェイトの体を貫いているのか。 「っ……な、のは……にげ、っ……」 「――っ! レイジングハート!」 「なのはさん!?」 『Divine Buster』 フェイトの姿を見て、何かが切れたなのはがエリオとその周囲にいたゾンビ生徒を吹き飛ばす。 倒れたままのフェイトを抱き起こし、治癒魔法をかけようとして―― 「……怪我が、ない?」 「なのは、大丈夫……エリオと戦って、て……わかったことが、ある……」 「フェイトちゃん、喋ったらダメだよ!」 心配するなのはに首を振って応え、フェイトは時折苦しそうにしながら言葉を続ける。 「私たち、の存在は……この世界じゃ、カードの精霊と似てるんだ……」 「カードの精霊……」 「だから、戦いが終われば怪我はなくなる……ダメージは、残るみたいだけど」 「そ、それじゃあ、この世界では私たちは死なない……?」 タイタンから受けた傷が治っていたスバルを思い出しながら尋ねる、 この考え通りだとしたらなのはの心配も杞憂に終わる、 わずかに期待を込めて問いかけるが、フェイトはその問いにも首を横に振った。 「さっき偵察に出た時、モンスターの死体を見た……たぶん、デュエルじゃない……精霊同士での戦いでやられたら、死ぬんだと思う」 「じゃ、じゃあエリオにやられたフェイトちゃんは……」 「……違う、今のアカデミアに、死の概念はない」 「え……?」 言っている意味がわからなかった……いや、わかっていても、予想していても否定したかったのだろう。 「今のアカデミアで精霊……私たちが死ぬほどのダメージを受けたり、デュエルで負けたりしたら――」 「こうなるんですよ」 「危ない!」 「っ!?」 スバルに引っ張られ、なのはの目の前をストラーダが通り抜ける。 少しでも遅れていたら間違いなくやられていただろう、スバルに感謝すると同時に本当にエリオがやったのか信じられなくなってしまう。 だが、エリオはとても楽しそうな表情でなのは達にストラーダを構えていた。 「なのはさん達も一緒に戦いましょう……凄いんですよ、こんなに戦いが楽しく感じるのは初めてです……」 「エリオ……本当に……」 以前の彼からは想像できない姿にショックを受けるなのは達の横で、 十代達はゾンビ生徒達に追い詰められていた。 「みんな、目を覚ましてくれよ!」 「デュエル……デュエルしよう……」 「ダメだ、こうなったらやむ負えない……!」 「ようは勝てばいいんだろ! やってやる!」 ディスクを展開してデュエルをしようとした瞬間、聞きなれた声が十代達を押しとどめる。 「ダメよ十代! デュエルしちゃダメ!」 「明日香、剣山!?」 「うぉぉぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁ!!」 剣山が台車に木材などを取り付けた改造車でゾンビ生徒たちを威嚇していき、 それによってできた逃げ道へ明日香がみんなを誘導していく。 エリオがそれを防ごうとするが―― 「アルケミックチェーン!」 「キャロ!」 「皆さん、急いでください!」 キャロの鎖がエリオを封じ、その間に十代達は逃げ出していく。 「なのはさん、早く!」 「フェイトちゃん……っ!」 ティアナは逃げ出す直前、後ろを振り返った。 執務官に必要なものを色々と教えてもらった、恩師のような存在であるフェイトを、最後に見ておきたかったのだ。 そしてそんなティアナの視界に入ったのは―― 「クロスミラージュ!」 『Phantom Blazer』 ティアナが咄嗟に放った砲撃魔法が相殺される。 なのはたちが驚いて振り返るが、ティアナは一気に走るスピードを上げて叫び返した。 「みんな、急いで! フェイトさんが……フェイトさんもエリオみたいに……!」 「あはは、さすがティアナだね……あれを防ぐだなんて」 「ダメですよフェイトさん……一撃で終わらせたらつまらないです」 「そうだね……ゆっくりと戦いの面白さを教えながら、なのはやキャロ達も仲間に入れよう?」 「はい……十代さんたちは、お任せしますね」 エリオは振り返り、新たなに現れた男へ語りかける。 「ああ、任せておけ……この俺、万丈目サンダーにな」 十代達は明日香を先頭にある部屋まで逃げてきていた。 「ここなら、大丈夫そうね」 「……なのはさん、大丈夫ですか?」 「うん……ごめんね、私がしっかりしないといけなかったのに」 「フェイトさん、エリオ……」 暗く俯くなのは達の横で、十代達もショックを隠せないでいた。 アカデミアの仲間達の変貌、そして、テレビでしか見たことのなかった「殺される」という瞬間…… 「明日香、いったいどうなっちまってるんだよ!?」 「私達にもわからないの、フェイトさんとエリオ君が見回りに出て、しばらくしたら突然あんな風になった生徒が……」 「初めは何人かデュエルを受けて、勝った人もいたザウルス。だけど倒しても倒しても、すぐに起き上がってきていずれはデスベルトのせいで……」 「三沢君や無事な人達は体育館の方でバリケードを作ってるわ、私達は皆が帰って来たときのために見回ってたの」 「そうか……翔もそこにいるのか?」 十代の質問に明日香が少し俯いた表情で応えようとするが、背後から聞こえてきた泣き声に中断される。 そちらを向くと「兄貴……兄貴……」と蹲っている翔の姿があった。 「翔、無事だったか!」 「丸藤先輩! こんなとこにいたドン!? 見つからなくって心配してたザウルス!」 「兄貴……剣山君……」 喜びながら二人は近寄るが、翔は蹲ったまま顔を上げようとしない。 十代は自然に手を差し出して―― 「よせ、十代!」 「へ?」 ヨハンが叫ぶが、その前に翔が十代の腕を掴み勢い良く立ち上がる。 その顔は―― 「デュエルしようよぉ!」 「しょ、翔!?」 「そんな、丸藤先輩まで!」 普段の翔からは考えられない力で腕を掴み、強制的にデュエルをしようとするが、 横手から伸びてきた魔力の道が翔の体を吹き飛ばす。 「ごめん、翔君……!」 「スバル……くそっ、翔まで……!」 「いいじゃないか十代、お前も仲間に入ればいいだけさ」 入り口から聞こえてきた声に十代たちは慌てて振り向く、 何人ものゾンビ生徒の先頭に立った万丈目が、デュエルディスクを展開しながら近づいてくる。 「万丈目……お前まで……」 「天上院君、十代、お前たちも一緒にデュエルを楽しもう。俺はこんなにデュエルに快感を覚えたのは初めてだ」 エリオと同じ事を言う万丈目に、十代達は愕然としてしまう。 背後には翔、前には万丈目と大量のゾンビ生徒が十代達を追い詰める。 「どうする!? このままじゃ……!」 「やるしか、ないの……!?」 「まだだ! 道がないなら作ればいい!」 十代の言葉になのはははっとして顔を上げる。 二人で向き合い、頷きあってそれぞれ別の方向へと向き直った、 なのはは横の壁へ、十代は天井へディスクを展開する。 「何をする気だ!?」 「みんな、なのはさんの側へ! いくぜ、フェザーマンとバーストレディを手札融合、フレイムウィングマン!」 「いくよ、本日二回目! ディバインバスター、フルパワー!」 なのはの砲撃が壁を吹き飛ばして道を作り、十代の呼び出したモンスターが天井を崩して万丈目達の追撃を阻止する。 天井の崩壊を逃れた翔が追ってくるが、キャロが再び鎖を召喚し縛り上げる。 そのまま通路を駆け抜け――二つの閃光がその進路を塞ぐ。 「フェイトちゃん……!」 「逃げるなんて酷いよ、なのは……私達と、戦おう?」 「エリオ君、目を覚まして!」 「キャロも仲間になろうよ、ライトニング隊みんなでさ……」 デバイスを構えて歩み寄ってくる二人になのはたちは思わず後ずさり――スバルとティアナが前に出る。 「スバル、ティアナ!?」 「ここは私達が抑えます、なのはさん達は早く先に!」 「保健室に行かないとレイちゃんが危険です、そちらをお願いします」 二人の目に迷いはなかった、スバルはエリオと、ティアナはフェイトとそれぞれ向き合う。 今のなのはにこの二人と戦うのはまず無理だ、彼女は決して心が強いわけではない。 確かになのはの意思は固い、最後の最後まで相手を救おうと動き、決して諦めようとしない、 だが……硬いからこそ壊れやすい、幼い頃からの親友、比べられるものではないが、ヴィヴィオよりもなのはの心に深く寄り添っていたものが崩れてしまったのだ、 まともな精神状態を保つのがやっとであろう、ならば二人を止められるのは、自分達しかいない。 「スバルさん、嬉しいなぁ、僕と戦ってくれるんですね」 「違うよ、戦うんじゃない……目を覚まさせてあげる……!」 「ティアナ、さっきの判断はよかったよ……もっと、もっと楽しもう!」 「フェイトさん……私に教えてくれた執務官としての心得、今度は私が教えます!」 他の面々が止める前に二人はフェイトとエリオへ駆け出していく、 なのははその光景に呆然とするが、ヨハンに手を引かれ慌てて走り出す。 「急ぐぞ! 俺に言ったこと、もう忘れたのか!?」 「え――」 「仲間を信じるんだろ? なら信じろ! あんたの部下と、親友を!」 「っ……うん! ありがとう、ヨハン君!」 ――みんな、お願い……! エリオはウイングロードで滑走するスバルへと狙いをつけ、一気に突撃する。 近接戦闘を得意とする二人だが、力や防御力ではスバルが勝るが速さでは圧倒的にエリオに軍配があがる、 その突撃を回避することは不可能と判断し、障壁で受け止め反撃しようとするが、直後のエリオの行動に目を見開く、 魔力をブーストとして爆発させた直後にスバルの強固な障壁との拮抗、かなり負荷がかかっているはずのストラーダで、更にカートリッジをロードして二回目のブーストを発動させる。 強力な負荷でストラーダはフレームが軋み、障壁は砕け散って慌てて身を捻ったスバルの左腕を浅く切り裂いた。 「エリオ……!」 「どうしたんですかスバルさん、そんなスピードじゃ僕にはついてこれませんよ」 「そんな戦い方をしたらストラーダが持たないよ! わからないの!?」 「ああ、心配いらないですよ。この世界では戦いが終われば元通り、ストラーダだって壊れても元に戻ります」 スバルは怒りを抑えるように拳を強く握る、だが、次のエリオの言葉に――キレた。 「スバルさんもどんどんマッハキャリバーを使うといいですよ、強化されてるんだし、ちょっとやそっとじゃ壊れないんでしょう?」 「エリオォォォォォォォォ!!」 ウイングロードの形成とほとんど同速度で突っ込み右腕を振るうが、その拳は壁の一部を砕くだけだった、 高く跳んで拳をかわしたエリオは、自分の右腕に雷撃を纏わせ、怒り任せの攻撃によって隙だらけになったスバルの背中を狙う。 「紫電、一閃!!」 「うわぁぁぁぁ!」 数年前の時にはまだ制御がしきれず、自身のバリアジャケットをも粉砕してしまった未完成の技だったが、 今はもうあの時とは違う、威力もあがり制御も完璧だ、 その一撃を受けてさすがにスバルも――そのままエリオの腕を掴み取る。 「なっ!?」 「この、ぐらい……!」 ――ギン姐の方が……強かった! そのまま腕を引き寄せ――投げ飛ばす! 「効くもんかぁ!!」 「――!」 背中から床に叩き付けられ、エリオの息が一瞬止まる。 急いで体勢を立て直そうと起き上がるが、目の前に突き出されていたスバルの拳と魔力に、動きを止めてしまう。 「一撃、必倒!」 「しまっ――」 「ディバイーン……バスター!!」 スバルの0距離からの魔力砲撃を受け、エリオは壁に叩きつけられて気を失う。 一息つこうとした直後、何かがぶつかりその場に倒れこんでしまう。 「いっつぅ……っ!? ティア!」 「くっ……やっぱり厳しいわね……」 「エリオ、やられちゃったんだ……さすがだね、スバル」 「フェイトさん……!」 なんとか立ち上がるも、状況はかなり厳しかった。 ティアナはすでにふらふらなのにも関わらず、フェイトはほとんど疲労しているように見えない、 防御の硬いスバルが前に出ようとするが、足から力が抜けてその場に膝をついてしまう。 「スバル!?」 「っ……思った以上に、ダメージが……!」 「そんな状態じゃ面白い戦いができないね……困ったな」 完全に舐められている、そう思いながらもティアはしかけることができなかった、 無防備に考え込んでいるだけのように見えるが、あの状態からでも一瞬の間に自分の背後を取れるだろう。 フェイトの戦いはよく見ていた、だが、今のフェイトはその時よりも強い。 ――人を傷つけるのに、躊躇いがない…… それはフェイトを知る人間には信じられないことであった。 例え犯罪者相手でも、フェイトはどこで自分をセーブしていたのだ、 その躊躇いがなくなった彼女は、もしかしたらなのはを超えてしまうかもしれない。 「……そうだ」 簡単なことじゃないか、といった風に微笑みながら二人へ向き直る。 「仲間になればいいんだ、ずっと一緒に戦えるよ……」 「……スバル、頑張りどころよ」 「だね……頑張ろう、マッハキャリバー!」 『All right』 スバルは懐に忍ばしてある一枚のカードにこっそりと手を添える、 別れる直前十代から受け取ったこのカードに、この場を乗り切る可能性を賭けて。 十代達は誰もいないことを確認し、部屋に入って扉を閉める。 「ガンナーガール、無事だといいが」 「万丈目、翔……ちくしょう!」 全員の気持ちは完全に沈みこんでいた、 それも無理はない、アカデミアに帰ってから息をつく間もなく、次々と変わり果てていった仲間の姿を見せられてしまっているのだから。 「今は、落ち込んでいる場合じゃない」 「ヨハン!?」 「早くこの薬を保健室まで届けなければ、鮎川先生とレイが危険だ」 「そ、そうだ……レイが待ってるんだ……!」 そう言うが早いか、薬を持って十代は駆け出そうとする。 「待て! どうする気だ!」 「どうって、だから薬を届けるんだよ!」 「落ち着いて十代、保健室の方にもあのゾンビ生徒が大勢いるのよ!」 「だったら! 尚更急がないと!」 「落ち着いて――って私が言えた立場じゃないけど、とにかく冷静になって、十代君」 なのはの言葉に十代は一旦動きを止める。 先ほどのなのはの表情を十代は見ていたのだ、絶望に染まったその顔を。 「保健室の周りがあのゾンビたちでいっぱいなら、私達が真正面から乗り込んだら返ってレイちゃんたちは危険になっちゃう」 「じゃあ、どうしろっていうんだよ!」 「そうだね……正面からじゃなければいいんだよ」 なのはの言葉が十代はさっぱりわからないと首を捻るが、オブライエンが意図に気づいて言葉を引き継ぐ。 「通気口からなら見つかる可能性はかなり低い、ミッションを達成するならそちらから向かうべき、ということか」 「うん、私はここの構造に詳しくないけど……みんななら、通気口からでもどっちの方向が保健室かわからないかな?」 「問題ない、内部構造なら把握している」 「よ、よし、それなら急ごうぜ!」 「wait、トゥモローガール達は体育館の方へ行って守りを固めた方がいい」 ジムの提案に明日香達は頷き、キャロとフリードを護衛に体育館へと向かう。 十代達も保健室へ向かおうとしたとき、生徒手帳が保健室からの通信を拾った。 『……か、誰か、応答して!』 「鮎川先生!? 無事なのか! レイは!?」 『十代君!? お願い、早く来て、もうもたn……』 「先生!? 返事をしてくれ、先生ー!!」 続く 十代「くそっ、どいてくれ! レイのところへ急がないといけないんだ!」 なのは「信じてるよ、スバル、ティアナ……私は、私が今できることをやるんだ!」 次回 リリカル遊戯王GX 第七話 レイ救出作戦! 恋する相手はなのはさん!? なのは「さ、さすがにモンスターとお付き合いする気はないんだけど!?」 十代「相変わらずだな……あのカード」 なのは「今回の最強カードはこれ!」 ―スターズ3 スバル=ナカジマ― 効果モンスター 攻撃力1850 防御力1600 自分の場に「ティアナ」「なのは」「ギンガ」と名のつくカードがある場合、 その枚数×200ポイントこのカードの攻撃力はアップする。 この効果はいつでも扱うことができる、 このカードを生贄にすることで、このカードを素材とする融合モンスターを特殊召喚できる。 デッキから魔法カードを二枚除外しこのカードを生贄にすることで「スバル=ナカジマ(戦闘機人)」を特殊召喚できる。 十代「無事でいろよ、スバル……!」 なのは「次回もよろしくね♪」 前へ 目次へ 次へ
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登録日:2011/11/10(木) 21 16 17 更新日:2024/02/11 Sun 13 57 02NEW! 所要時間:約 5 分で読めます ▽タグ一覧 むせる サングラス ダークネス トゥルーマン ミスターT 二十代様がみてる 増殖 大量増殖 心理フェイズ 真実を語る者←嘘をつかないとは言ってない 空野大悟 遊戯王 遊戯王GX 遊戯王登場人物項目 郷田ほづみ 闇 闇磯野 黒いカード ⇒もしかしてミスターK? ⇒もしかしてミスターL? ミスターTとは遊戯王GXの最後を飾った第四期に登場した、ダークネスの遣わした闇のエージェント。 CVは郷田ほづみ。 自らを「真実を語る者(トゥルーマン)」と称しており、そこから「ミスターT」と名乗った。 常にサングラスをかけた長身の男。さらには全く同じ姿の彼らが大勢いる。某エージェントのイメージ。 普段は現実世界とは違う世界に身を潜めており、姿を現す際は突如空間を引き裂いて出現する事もある(静止画で見るとドヤ顔している)。 \ やぁ! / <○─( ̄∀ ̄)─○> ↑イメージ図 使用デッキは登場の度に変化しているが、アニメキャラには珍しく既存のOCGカードを軸として戦う。 火山の溶岩を任意で噴火させたり、地形を思い通りの形状へ切り刻んだり、黒いカードの束になって移動したりと数々の能力を持っており、リアルファイターとしても優秀。 特筆すべきは精神攻撃。 他人の姿に変身したり、暗示によって相手のトラウマを映し出し、精神的に揺さぶりながらデュエルを行う。 オブライエンには、より救いの無い記憶に改竄したり、 ティラノ剣山に、前世の記憶(と言い張っているもの)を見せ、その上でお前の体の恐竜の骨は前世のお前に食われた者の骨だと伝え、それらの者の恨みの感情を増幅させダークネスの世界へ引きずり込もうとした なお見せた前世のヴィジョンと骨の話が真実か否かは不明である ユベルの力を持つ十代には精神攻撃がほぼ通じず、「厄介な力を持っている」と評した。全く効果が無いわけではなく、大量のミスターTに囲まれた時は苦しんだり、デッキに黒いカードを忍ばされた時には十代も影響を受けた。 また、宝玉獣の加護を受けたヨハンも同様に精神攻撃を受けない。このことを知らない藤原は実際にヨハンに精神攻撃を仕掛けたが、心の中で宝玉獣とレインボードラゴンが守護しており失敗している。 ちなみに剣山も一応耐性はあるが、上の二人ほど強くはなく最終的には影響を受けてしまった。 ミスターTとのデュエルに敗れた者は、ダークネスの住まう虚無の世界へと取り込まれてしまう。 しかし、ミスターT自身は負けても黒いカードの束となって退散するだけで何度でもコンティニュー可能。 しかもダークネスが健在である限りいくらでも送り込める量産型なのでコイツと戦い続けるだけでは何ら事態は好転しない。ずるい。 最初は単体や少数での登場だったが、最終回近くになると全世界を覆いつくす勢いで活動し、学園にも大挙して押し寄せてくる。 作中では、確認されているだけでも十代と吹雪以外のデュエルアカデミアの生徒、海馬以外の海馬コーポレーションの従業員を消滅。 最終的にダークネスとしては十代を除いた世界中の全ての人間を取り込んだ。 デュエルしない人までも消された可能性が高い。 その正体はダークネスの分身たる存在である。 ミスターTはデュエルディスクに反応しない黒いカードが具現化した存在でもある。 そして、黒いカードの正体は「負の思いが詰まったカード」「デュエリストの思いが詰まっていないカード」である。 ミスターTはデュエルに負けて悔しい思いをしたデュエリストの前に現れ、デュエルや言葉責めで洗脳していった。 使用するデッキは前述した通り様々であるが、殆どのデッキで受けたダメージと同じ攻撃力のモンスターをリクルートする「ダーク・アーキタイプ」を使用。 十代戦(1) 姿 ミスターT デッキコンセプト:不明だが、暗黒界の魔神レインを切り札にしており、ネオスと戦いを繰り広げた。 十代「なんどぶっ倒しても!ぶっ倒しても!」はなかった。 十代戦(2) 姿 ミスターT デッキコンセプト:融合 攻撃力3500のメテオ・ブラックドラゴンを召喚し、十代を追い詰めた。 十代戦(3) 姿 ミスターT デッキコンセプト:ドラゴン族 未来融合と龍の鏡でF・G・Dを2体並べた。 十代も鬼畜モグラで除去にかかるが、攻撃時にスキドレ。えげつねえ。 これによって完全に制圧したかに見えたが…… 十代「ダメージ計算いいっすか?」 空野戦 姿 空野 デッキコンセプト:不明 内容は不明だが、お触れホルスデッキの空野をほぼ完封して勝利。ついでに他のデュエルアカデミア生徒を次々に倒していた。 オブライエン戦 姿 ミスターT⇒オブライエンの父 デッキコンセプト:ヴォルカニック オブライエンの記憶を改竄、精神的に揺さぶりをかけた上で、攻撃するように何度も煽ってミスを誘い勝利。 剣山戦他 姿 空野 デッキコンセプト お触れホルス 劇中で明確に使われたカードはホルスといくつかの魔法だけだが、場に王宮のお触れが発動されていることが確認できるのでお触れホルスであることは確定。恐らく姿を利用した空野と同じデッキだろう。 剣山の前世が恐竜だったというイメージを植え付ける。恐竜好きの剣山はそれを喜ぶが、剣山自身が弱肉強食の世界で大量の命を奪って来たと揺さぶりを掛けられ、動揺し平常心を失った剣山は最終的に敗北した。 他にも翔など多数の決闘者がこのお触れホルスの前に散っていった。 他にも万丈目、明日香等も倒されているが作中では殆ど描写がないため、ミスターTが倒したのかそれとも藤原が倒したのかは不明。 タッグフォース3ではダークモンスターを使う。 全体的に重く、事故りやすい為、さほど強くは感じないが展開を許した時は本当にきつい。 アニメでの最後 藤原・十代・ヨハンのトライアングルデュエルの最後に呼びだされたレインボーネオスに爆殺された デュエルをただ見てただけなのに爆☆殺された しかも、そのデュエルはネオスを召喚した時点で十代の勝利が確定していたのに、わざわざレインボーネオスを召喚させてまで十代に爆☆殺された ネタ なにかと、ターミネーターの暗殺者を彷彿とさせる。 また、遊☆戯☆王の磯野が闇化したように見えることからファンからは「闇磯野」と呼ばれている。 海馬「磯野!項目の追記・修正をしろ!」 磯野「追記・修正開始ィィイィィィィイィィ」 <○─( ̄∀ ̄)─○> △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 言っちゃ悪いが出すだけ出して扱いに困った感が有り有りと…… -- 名無しさん (2013-12-18 00 22 10) 俺はマトリックスのエージェントスミスを連想するな -- 名無しさん (2013-12-18 00 27 42) ↑というか最初に連想したのがそれだったんだな -- 名無しさん (2013-12-18 02 32 00) Aチームのコングの役者さんかと思った -- 名無しさん (2014-02-22 20 17 55) 最初は破滅の光本体の使徒だと思ったな -- 名無しさん (2014-05-12 22 27 51) 掃除大好きで三人の娘がいるテレビ番組の司会者ミスター -- 名無しさん (2014-06-11 08 56 24) 全ミスターTの精神攻撃vs遊馬先生とか見てみたい -- 名無しさん (2015-03-28 00 07 24) 歴代でもトップクラスに悪質なデュエリストだと思う -- 名無しさん (2015-03-28 00 20 54) 未来融合FDG→モグラ→スキドレの流れはほんと笑う -- 名無しさん (2015-11-18 21 34 48) 出てくるたびにパワーアップしてたな -- 名無しさん (2015-11-22 20 18 53) 自分は負けても無限コンティニューの量産型、相手は負けたらアボンってズルイわ -- 名無しさん (2016-02-21 18 24 21) 郷田さんて、まえの -- 名無しさん (2016-02-21 20 38 20) ↑ゴメンミス。郷田さんは前作にてアニオリキャラ演じてたね。 -- 名無しさん (2016-02-21 20 41 18) 遊戯、海馬、城之内は消されてないで欲しい -- 名無しさん (2016-12-11 05 21 15) 一応カードがあるのでリンクス参戦はいける気もする -- 名無しさん (2019-09-29 22 12 07) リアルデュエルでしか見れないと思った融合代用モンスターのヌマチマン使いだしたときの衝撃よ -- 名無しさん (2020-03-17 23 19 05) ↑3 おそらくリアルファイトでやられたのが濃厚だな… ↑10 遊馬でも顔を顰めるのは間違いあるまい… -- 名無しさん (2023-02-05 12 18 34) 名前 コメント
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リリカル遊戯王GX 第七話 レイ救出作戦! 恋する相手はなのはさん!? 「十代、そういえばスバルに何か渡してなかったか?」 オブライエンが通風口からのルートを考えている間に、ヨハンは先ほど見たことを思い出して問いかける。 フェイト達を二人に任せ逃げる直前、十代はスバルへ一枚のカードを渡していたのだ。 「ああ、スバルが『モンスターに囲まれた時に一掃できるようなカードってないの?』って潜水艦で聞いてたんだ、それでさっきつい……」 「だけど、スバル達に魔法カードが使えるのか? ディスクもないんだろ?」 「それは大丈夫だと思うよ」 二人の会話になのはが入ってくる。 先ほどと比べ、大分落ち着いたようだった、ゆっくりとだがはっきりと自分の考えを話し始める。 「私たちが三沢君を助けた時に戦ったモンスターが、途中で三人に増えたり、何もない場所から突然装備をつけたりしてたんだ」 「あ、そういえば言ってたな……ハーピィ・レディが三沢を襲ったって」 「ということは、万華鏡―華麗なる分身―と何かの装備カードを自分で使ってことか……」 「うん、だからもしかすると、外部からデュエルに介入できる私たちにも使えるかもしれない」 なのはの説明に「なるほど……」と二人は頷き、突然自分たちのカードを取り出しじっくりと見始める。 「ど、どうしたの?」 「いや、それなら俺達の余ってるカードを渡しといた方が何かあった時いいんじゃないかな、って」 「ああくそっ、ほとんど寮に置いてきちまったぜ……お?」 目ぼしいカードが無く顔を顰めていた十代は、見慣れないカードがあることに気づいた。 「薄幸の美少女に恋する乙女に……十代、こんなカード持ってたのか?」 「わぁ、可愛いね、こんなカードもあるんだ」 「い、いや、これ俺のじゃないって!」 HEROカードがメインの十代からは、まったく想像できないカードに困惑する二人へ十代は慌てて否定し、 次の瞬間には真剣な顔でそのカード達を見つめ、ぽつりと呟くように説明する。 「これ……レイのカードなんだ」 「レイちゃんの……?」 「あいつ、結構俺にデッキの相談してくることが多くてさ、たぶんその時に紛れこんじまったんだと思う」 十代は神妙な面持ちでカードを見つめる、 そんな姿を見て、なのはは少し考えた後そのカードを手に取った。 「なのはさん?」 「このカード……使わせてもらっていいかな?」 「えっと、でも、レイのカードは攻撃向けの物は少ないぜ?」 「十代君……別に私、攻撃好きってわけじゃないんだけど~」 冗談半分に言ってみるが、十代は「え!? マジで!?」という表情を慌てて直し、 ヨハンも「そ、それだったらこっちも使えるな……」とカードの選定をし直すのを見て自分の行いを反省する。 ――そういえば、こっち来てから壁を撃ち抜いたりばっかりだったっけ…… 「と、とにかく使わせてもらうね。ありがとう」 「あ、ああ、でも効果とかよく見た方がいいぜ、結構分かりづらいのもあるし」 「うん、そうだね。時間ができたら見させてもらうよ」 なのはがカードをしまったところで丁度オブライエンがやってくる。 無理矢理開けた通風口へと入りこみ、思った以上に広いスペースで動きを止めた。 「こんなところにまで……!?」 十代達の前にゾンビ生徒が現れ、デュエルを迫ってくる。 どうするべきか思案していると、アモンが前に立ってデュエルディスクを展開した。 「アモン!?」 「こいつは僕が引き受けよう、みんなは先へ急ぐんだ」 「だけど、こいつは……!」 「大丈夫、危なくなったらすぐに逃げるさ」 「アモンさん……ありがとうございます!」 後ろ髪を引かれながら、その場をアモンに任せて十代達は先を急ぐ、 アモンはゾンビ生徒と向き合いながら内心ほくそ笑んでいた。 ――十代達に恩を売って信用を得ておいた方が動きやすい……まったく、これさえなければもう少し楽なんだが。 一瞬忌々しげにデスベルトに視線を向け、デュエルを開始する。 「クロスファイア、シュート!」 「はぁぁぁぁぁ!」 無数の魔力球をフェイトはザンバーフォームのバルディッシュで一気になぎ払う、 いくつかの魔力球を牽制に置いておきながら、ティアナは後ろへと下がり続けていた。 「動けないスバルから引き離そうとしてるんだ、優しいね」 「っ!」 「だけど、無駄だよ」 『Sonic move』 高速移動魔法でティアナの背後に回って斬りかかるが、まるでそこに攻撃されるのがわかっていたかのように、 ティアナはダガーモードのクロスミラージュで一撃を受け止める。 「その言葉、そっくりお返しします」 「なっ……」 「ゾンビになると思考能力も低下するみたいですね……いつものフェイトさんなら、何度も同じ攻撃はしてこない!」 叫びながらバルディッシュを弾き体勢が崩れたところへ魔力球を放つ。 一瞬で作り上げたため粗悪な代物だが、これでも顎に当たれば脳震盪を起こすことぐらいは可能だ、 決まった――そう思った直後、ティアナは彼女が一部で何と呼ばれていたのかを思い出す。 即ち――『金色の閃光』 『Sonic form』 「楽しいよティアナ……今のは、ちょっと焦っちゃったけどね」 「そん、な……!」 ティアナの戦術は完璧だった。 冷静に相手を観察し、以前にはなかった弱点をしっかりと見抜いて撃ち抜こうとした。 ただ一つだけ、見誤っていたのだ。 躊躇いを無くした彼女と自分の、生半可な戦術では埋めきれない能力差を、ソニックフォームの視認さえ不可能なスピードを。 「ティア!」 「っ!?」 スバルの声に我に返り、よろめくように一歩後ろに下がる。 その目の前をやはり視認できるか否かの速さでバルディッシュが通り抜け、ようやくこの状況を切り抜けようと思考が回り始めた。 「ティア、クロスシフト……!」 「無理に決まってるでしょ!? 少しは自分の状況を考えなさい!」 ダメージの残る体を無理矢理起こして言うスバルにティアナが叱責を飛ばす。 危機的状況にお互いのチームワークが乱れてきた……知らない者ならそう思うだろう、 だが、二人は口で言い争いながら念話で作戦を立て直していた。 『ソニックフォームのフェイトさんについていくのはまず不可能……切り札を使うしかないわ』 『でも、受け取っておいてあれだけど本当に使えるのかな……?』 『それは大丈夫だと思うわ、問題は発動条件ね』 スバルが十代から受けとったカードを中心に思考を回す。 そのカードは「ライトニング・ボルテックス」手札を一枚捨てることで相手の場の表側表示のモンスターを全て破壊する魔法である、 使用できるならばこれはかなり強力だ、例え相手がどれだけ強くても無条件で倒すことができる。 だが――その強力すぎる効果が逆に不安だ、もしもフェイト達がモンスターを倒した時のように消滅してしまったらなのは達とは二度と顔を合わせることができない、 それに『手札を一枚捨てる』という発動条件、これをどう支払うか? ――最初に思いつくのは魔力を消費する……だけどこれだけの威力なら、カートリッジ数発分は必要かもしれない。もしくは装備の破棄……こっちは後に響くわね…… 思考を巡らせながらもティアナはだんだんと下がり始める。 ソニックフォームのフェイトの攻撃は繰り出された瞬間には終わっている、 勘と経験から基づく予測でなんとか防いではいるが、一撃一撃がギャンブルなこの状況に精神の方がまいってしまう。 ――後一つ、発動してくれるかどうか賭けだけど……これなら、必要な魔力も最低限ですむし、リスクもない。これに賭ける! 「スバル、貸して!」 「うん!」 一気に無数の魔力球を生み出し、フェイトが思わず足を止めた瞬間スバルからカードを投げ渡される。 目の前にあるのが魔力球の形を模しただけのほんのわずかな魔力の集まりであることに気づき、一気に切り崩そうとしたフェイトへカードを突き付けた。 「マジックカード! ライトニング・ボルテックス発動!」 ティアナの宣言と同時に、その体が消えていく。 「自分を、コストに……!?」 フェイトはまったく予想していなかった光景に呆然とし――その体に容赦なく雷が襲いかかる。 「うわぁぁぁぁぁぁ!?」 「ふぇ、フェイトさん……」 想像以上の威力にスバルは呆然と呟く。 幸いにも考えていたように消滅はしないらしく、今のアカデミアの状態ならば問題は無いだろう。 ……自分たちが受けたら一発でゾンビの仲間入りだろうが。 「スバル、動ける? 復活される前に拘束しておかないと」 「あ、うん! 今のでバトル終了ってことかな、怪我は治ってるよ! ……まだ痺れるけど」 消えたはずのティアナが傷が本当に治っていることを確認しながら問いかける。 種を明かすなら、フィエクシルエットによって生み出した分身をコストとして使えないかどうか試し、それに成功したというわけだ。 そのままフェイトとエリオへバインドをかけ、一瞬動きを止めた後に慌ててスバルの側に駆け寄る。 「スバル、まずいわよ……」 「うん、気づいてる……囲まれてる、ね」 あれだけ派手に戦闘をしていたのだから当然かもしれないが、ゾンビ生徒達の気配がこちらへ集まりつつあった、 怪我こそないものの、ダメージは抜けていないし魔力も消費している、頼みの魔法カードも先ほど消えてしまった、どうやら自分たちが使えるのは一回限りらしい。 かなりつらい状況の中、二人はゾンビによる包囲を突破しようとフェイトとエリオを抱えながら駆け抜ける。 「くっそー、こっちには時間がないってのに……!」 通風口で大分距離を稼いだ十代達は、少しだけ空いたドアの陰に隠れながらゾンビ生徒をやり過ごす、 だが、次々とやってくるせいで中々前に進むことができなかった。 焦れる十代達だったが、突然カレンが鳴き出してジムに何かを訴える。 「カレン?……そうか、俺達の番だな、OK!」 「ジム!?」 ジムが突然飛び出し、側にいたゾンビ生徒の注意を引く。 慌てて駆け寄ろうとした十代を制し、ジムは叫ぶ。 「十代、先に行ってくれ! ヘイ、ゾンビボーイ、俺が相手になるぜ!」 「ジム……くそっ!」 「フリード、ブラストフレア!」 キャロの指示でフリードが火球を吐き、進路上のゾンビ生徒達を下がらせる。 そのまま明日香達と共に駆け出し、ある通路に来たところで明日香が立ち止まる。 「どうしたんですか?」 「その、余計な御世話かもしれないけど……こっちからあの二人が足止めに残ってくれた場所まで行けるのよ」 「っ!」 「そうザウルス、こっからなら俺達だけでも大丈夫ドン! 助けに行ってあげて欲しいドン!」 二人の言葉にキャロは悩む、スバルとティアナだけではない、エリオとフェイトもキャロにとって何にも代え難い人物だ、 今すぐにでも駆け出していきたいところだった、だが―― 「いえ、私は皆さんの護衛を続けます……フリード、お願い!」 「キュルゥ!」 キャロの声にフリードが一声鳴いてスバル達の下へ向かう。 「キャロちゃん、どうして……?」 「私はなのはさんに二人の護衛を頼まれました、私の今の任務はお二人を守ることです……それに、スバルさん達ならきっと、大丈夫です!」 「……わかったドン、キャロちゃんがそういうなら、俺達もあの人たちを信じるザウルス!」 「そうね……なら急ぎましょう、またゾンビ達が集まってくるわ」 「はい!」 ――エリオ君、フェイトさん……また、一緒にいられますよね…… 十代達は保健室のすぐ近くまでやってきていたが、またも多数のゾンビ生徒によって足止めを喰らう。 「くそっ、いったい何人がやられちまってるんだよ!?」 目的地は目の前だというのに動きが取れない、そんな状況に十代は焦りを募らせる、 いつあのゾンビ達が保健室の中に突入するかもわからないのだ、今すぐにでも飛び出していきたいところだろう。 「十代、こっちだ」 「え? オブライエン?」 オブライエンが呼びかけてくるが姿が見えない、 ふと頭上を見上げると、天井裏からオブライエンが顔を出していた。 「俺が表の連中を引き受ける、その間にお前たちはここから内部へ突入しろ」 「で、でも、それじゃオブライエンが危険だ!」 「問題ない、うまくやる」 「だけど……」 「大丈夫、私も一緒に行くよ」 なのはがレイジングハートを起動させながら言い、十代とヨハンは仕方なく頷いて天井裏へと昇る。 入れ替わりに降りてきたオブライエンとなのはは、通路の影から保健室の前の様子を窺いながら作戦を立てる。 「どうする? 陽動なら私が一発撃つだけで相当来ると思うけど」 「いや、それではあの数が一斉にそちらに向かってしまう。デュエルはほとんどの場合一対一で行われる、複数に迫られても影響の少ない俺が出る」 「わかった、何人か足止めして、撃退したら援護に行くね」 「頼む」 無愛想だが、冷静に判断を下していくオブライエンになのはは感心する。 留学生とは言っていたが、彼とてこのアカデミアの一員だ、 仲間があのようになってしまっても冷静さを失わないというのは多少冷たいとも思うが、それ以上に今の状況を把握しているからだろう。 なのはは自分が情けなく感じてしまう、フェイトがやられた時、何も考えずにエリオを吹き飛ばしていた、 結果的によかったものの、もしもゾンビだったのがフェイトで、エリオはそれを迎撃していたのだとしたら目も当てらなかっただろう。 「どうした? 準備はいいか?」 「あ、うん、いつでも!」 「ならば……行くぞ!」 オブライエンが飛び出し、口笛を吹いてゾンビ達の注意を引き付ける。 そのまま駆け出すオブライエンをゾンビ達は追いかけ、後方にいた五人ほどがなのはのバインドによってその場に拘束される。 「私のバインドじゃこの人数が限度……後は、アクセルシューター!」 更に数人を魔力ダメージで昏倒させようとするが、すでに一部のゾンビ達がオブライエンよりもなのはを狙ってディスクを構えていた、 そのうちの一人が前に出て、一体のモンスターを召喚する。 「これは……魔道士!?」 ―熟練の白魔術師― 攻撃力1700 防御力1900 効果モンスター 更にカードが伏せられるのを見てなのはは焦る、 マジック・ジャマーのような罠を使われてはかなり厳しくなる、その焦りから一気に片付けようと単調な攻撃になってしまう。 「ディバインバスター!」 「トラップカード……魔法の筒(マジックシリンダー)……」 魔力砲撃とモンスターの間に巨大な二本の筒が現れ、そのうちの一本になのはの魔法が吸い込まれていく。 未知の物質になのはは警戒し、もう一本の筒からディバインバスターがなのはに目がけて撃ち出された。 「相手の攻撃を跳ね返す罠!? レイジングハート!」 『ProtectionEX』 咄嗟に障壁を張って自らの砲撃を受け止める。 正直想像以上の威力に、つい今まで模擬戦などで直撃させた人たちに心の中で謝りつつ砲撃を凌ぎ切った。 そのまま相手を見るが、ゾンビ生徒はわずかに笑みを浮かべているように見えた。 「魔法カード……エルフの光……」 モンスターが淡い光に包まれ、なのはは何かの攻撃が来ると身構えたが、ゾンビ生徒はそのまま言葉を続ける 「熟練の白魔術師の効果……魔法が使われるたびに魔力カウンターを乗せ、三つ溜まった時生贄にすることで……」 言葉と共にモンスターの姿が消え、新たな騎士のようなモンスターが現れる。 なのはの本能が、そのモンスターが今までの相手とは比べ物にならない相手だという事を告げていた。 「バスターブレイダーを、特殊召喚する……」 ―バスターブレイダー― 攻撃力2600 防御力2300 効果モンスター バスターブレイダーは有無を言わせずなのはに斬りかかり、なのはは近づかせないように砲撃を放つ。 なのは一人のこの状況で、自分の懐に飛び込まれたら終わりなのを彼女は誰よりもわかっていた、だからこそ迎撃しようとしたが―― バスターブレイダーの剣は魔力砲撃を斬り裂き、その衝撃波がなのはを襲いかかる。 「あうっ……!」 「連弾の魔術師召喚……」 なのはが目の前の相手の対処に思考を巡らせる間にも、別のゾンビ生徒によって新たな魔道士モンスターが召喚される。 ―連弾の魔術師― 攻撃力1600 防御力1200 効果モンスター その光景を視界に入れながら、なのはは思考を巡らせ続ける。 自分が最も得意とする砲撃魔法が撃ち負けた、まだ彼女にはエクシードモード、更には切り札のブラスターモードもあるが、 それで勝てる確証がない以上危険だ、万が一撃ち負けた場合今度は確実に間合いに入られてしまう。 ――そうなると、これに賭ける! なのはは後ろに下がり続けながら懐からカードを何枚か取り出しざっと目を通す。 ――十代君の言った通り直接戦闘に向いたカードは少なそう……相手のモンスターを自分のコントロール下に置く!? テキストを流し読みしていると、その一文に目が止まり迷わずそのカードを使う。 「魔法カード、キューピッド・キス発動!」 キューピッド・キスのカードが消滅し、なのはの右腕にハート型の可愛らしい弓矢が装着される。 目に止まった一文以外よく見ていなかったなのはは一瞬きょとんとするが、バスターブレイダーが迫って来たのを見て慌ててその矢を放つが、 あっさりと矢は弾き飛ばされ、なのはは再び衝撃波で吹き飛ばされてしまう。 発動条件を間違ったか? そう思い諦めずに別の手段を模索するが、その暇もなくバスターブレイダーはなのはへと迫り―― 「好きだぁぁぁぁ!!」 告白した。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふぇ?」 言うまでもなく、なのはは美人の部類に入る。 局でも人気はかなり高いのだが、いかんせん高根の花というイメージや、某金色の閃光の影響から告白されたことは今まで一度もなかった。 そして今、人生初の告白というものを受けたのだ――モンスターから。 ――えっと、え? 好きってあれだよね、所謂likeっていう……だってこの人モンスターだもんね? そういえばモンスターも喋るんだ、そういえばおじゃまトリオも喋ってたっけ……ってそうじゃなくて! 全力全開で現実逃避に走っていた思考を無理矢理戻し――現実を見つめた自分に後悔する。 「ええっと、あの……?」 「あんたの決して諦めないその姿勢に惚れた! 俺はあんたに協力する!」 「そ、それはありがたいんですけど……す、好きってどういう……」 「だから、結婚を前提に付き合ってほしい!」 ――助けてフェイトちゃぁぁぁぁん!! 思わずスバル達と戦っているであろう親友に助けを求めるが、バスターブレイダーは突如振り返って剣を振るう。 その一太刀で連弾の魔術師は切り裂かれ、なのはをかばうように剣を構える。 「彼女には指一本触れさせん! かかってこい!」 ――た、頼りにはなりそうだけど……ど、どうしよう…… 続く 十代「レイを救うんだ……そのためにも、こんなところでやられてたまるか!」 ティアナ「戻らなきゃ……みんなを、守らないといけないんだ……!」 次回 リリカル遊戯王GX 第八話 恐怖のバーンデッキ! 守り抜けブラストフレア! レイ「じゅう、だい……!」 ティアナ「頼りにしてるわよ、チビ竜!」 十代「今回の最強カードは二枚!」 ―スターズ2 ティアナ=ランスター― 風属性 魔法使い族 ☆4 攻撃力1400 防御力1100 自分の場に「スバル」「なのは」「フェイト」という名が付くモンスターがいる時、その枚数×200ポイント攻撃力がアップする。 このモンスターが表側表示でいる時、魔法カードの発動条件を無視して発動することができる、この効果は一度しか使えない。 ―高町なのは(キューピッド・キス)― 光属性 魔法使い族 ☆6 攻撃力2400 防御力2300 このカードは「スターズ1 高町なのは」として扱う。 このカードは「キューピッド・キス」を装備した「スターズ1 高町なのは」を生贄にすることでのみ召喚できる。 このカードが表側攻撃表示でいる限り、戦闘では破壊されない。 このカードが攻撃したモンスターは、ダメージステップ終了後破壊されていない場合自分のコントロール下に置く、 そのカードが自分の場にいる限り、このカードは表示を変更できず攻撃もできない。 このカードが破壊された場合、「スターズ」「ライトニング」と名のついた魔法使い族以外の自分の場のモンスターは破壊される。 なのは「うう、これからどうしよう……」 十代「じ、次回もよろしくな!」 前へ 目次へ 次へ
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登録日:2011/10/28(金) 19 26 34 更新日:2024/04/07 Sun 22 28 57NEW! 所要時間:約 2 分で読めます ▽タグ一覧 かわいい オシリスレッド コナミの嫁 デュエリスト ブルーレイ ボクっ娘 ライトロード ライロ ロリキャラ ロリ巨乳 仙台エリ 可愛い 恋する乙女 早乙女レイ 遊戯王 遊戯王GX 遊戯王登場人物項目 早乙女(さおとめ)レイとは、アニメ『遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX』に登場するキャラクターである。 CV 仙台エリ 概要 丸藤亮に一目惚れして、デュエルアカデミアにやってきた女の子。 当初は正体を隠すために男の子に変装していたが、風呂に入らないなど明らかに様子がおかしく、結局十代にバレてしまう。 十代とデュエルしそれなりに追い詰めるが、結局敗れ去り女であることを認める。 さらに亮の口から、そもそもまだアカデミアに到底入学できない小学五年生であることが発覚。 これには十代も「俺って小学生に苦戦してたのか!?」などとショックを受けていた。 この影響からか、正体がばれてからも一人称は「ボク」とボクっ娘で、ボーイッシュな服装を好む。 ただし、成長してからは「私」も使うようになった。 第1期で1話登場しただけであり、GXあるあるのただの単発キャラかと思われていたが、 リアルでも作中時間でも一年半近く経った第2期後半でまさかの再登場。 アカデミアの開催したデュエル大会「ジェネックス」に乱入して活躍する。 万丈目に逆転負けし惜しくも準優勝に終わるが、その功績を認められ中学生ながらデュエルアカデミア高等部に特別編入。 本来女子は一貫してオベリスクブルーに所属するのだが、レイ自身たっての希望でオシリスレッドに所属することになる。 初のオシリスレッドの女子生徒で制服もないためオリジナルのものを着ている。 デュエルで負けたことをきっかけに遊城十代に鞍替えし、手作り弁当を持っていくなど熱烈なアタックをかけるようになる。 やたらと恋する乙女であることを強調する。 本人曰く「恋をした女の子に不可能はない」とのこと。 3期ではラーイエローの同級生、加納マルタンと交流を持ち、なにかと世話を焼く。 異世界編に突入後は、ユベルに重傷を負わされ、本来のヒロインである筈の明日香を差し置いて十代にお姫様抱っこされたり、 十代「レイは、俺がこの薬を届けるのを待ってるんだ」と言わしめたり、マルタンに取り憑いたユベルに真っ向至近距離から「マルっちを返せ」と立ち向かったり… と疑似ヒロイン的立ち位置になるものの、2度目の異世界行きの際は同行していない。 3期後半の殺伐感はレイもいないし明日香は早々に退場するしで女っ気がほぼなかったからかもしれない。 とびきりヤバいのがいたような気もするが気にしてはいけない。 4期ではブルーに昇格したが、相変わらず本人はレッド気分である。 剣山とともに卒業委員になっており、アルバム作りをしたりペアデュエル大会をしたりする。 ペアデュエル大会では十代 明日香ペアとぶつかり、タッグデュエル専用カード《パートナー・チェンジ》で十代を寝取ったりしたものの結局明日香に取り返されて敗北した。 十代にとっては日常の象徴のようなキャラな為か、シリアスだとあまり登場することがなく最後まで出番はそう多くはなかった。後期明日香よりは多いと思うけど。 だが、PSP専用ソフトの遊戯王タッグフォースではパートナーに選んでともにタッグデュエルすることができ、 遊戯王OCG化されていないカードも収録され専用のデッキも組めるなどとても優遇されている。 遊戯王タッグフォースではオベリスクブルーの制服を着た、通称ブルーレイも登場する。 (そしてこころなしか、レッドのときより胸が豊かになっている気が…) ちなみにタッグフォース3では、レッド制服、ブルー制服、小学五年(男装)、小学五年(少女)と、4種類ものストーリーが用意されている。 「レイは俺の嫁!」な人歓喜である。 そんなタッグフォースに対してデュエルリンクスでの実装はかなり遅く、 DSODワールドが開放されたり、5D'sワールドにダグナーが来たりした後にようやく単発ゲストとして登場。 その後2020年3月にプレイアブルになった。 実装時のイベント内容から推測するに、時系列は恐らく4期のブルー昇格後と思われる。 あろうことか斎王(※光の結社時代)に十代との恋愛運を占ってもらおうとする猛者。 またヘルカイザーとなった亮に対してはやはり複雑な心境である様子。 使用デッキ ・恋する乙女デッキ ビッチ乙女モンスター「恋する乙女」を主軸にしたコントロール奪取デッキ。 1回目の戦闘でカウンターを乗せ、2回目の戦闘でそのモンスターを奪う(コントロール奪取)効果で十代のモンスターを奪った。 レイ自身に似た女の子という容姿や「乙女カウンター」という名のカウンターというゲームから浮いた雰囲気もさることながら、 最も印象に残るのは戦闘時の茶番である。 戦闘が始まると周囲がお花畑に変わり、 「攻撃するなんて、そんな……ひどい……」と怯える恋する乙女に攻撃モンスターが動揺する(基本掛け声だけのモンスター全員が喋る)。 露骨なほどあざとく可愛そう感を出す恋する乙女と、 「惚れたー!」などと叫びながらヒーローにあるまじき変わり身の早さでホイホイ鞍替えするE・HERO達のチョロさが笑いを誘う、GXではよくある明らかなネタ回であった。 ただし単発回のネタデッキであるため、関連カードも少なくデッキとして全然完成はしていない。 ゲーム『タッグフォース』シリーズにオリジナルカードとして収録されておりデッキが組めるが、初見ではほぼ勝つ方法が分からないだろう。 今ならパワー・ツール・ドラゴンが存在するのである程度は戦えるのだが…… デュエルリンクスでも基本はこのデッキ。ただしレベルが上がるに従って色々混ざる。 ・神秘の卵デッキ ジェネックスで使用していたデッキ。 「ミスティック・エッグ」を「ミスティック・ベビー・マジシャン」「~ドラゴン」「~ナイツ」のいずれかに進化させ、 更にその進化形態(「ベビー」の取れたカード名)で戦う戦術だった模様。 ……「だった模様」というのは、一部分しか描かれていないデュエルで1回使っただけだからである。 この回では「ミスティック・ドラゴン」シリーズが登場したが、「マジシャン」「ナイツ」はテキストから存在が読み取れるだけで登場すらしていない。 唐突に出てきたミスティック・ドラゴンの攻撃力3600は結構インパクトのある数値ではあったが。 ・ライトロード 元々単発キャラであり、デュエル回数も少なく上記のような感じでまともに使えるものがないため、『タッグフォース3』で使用しているデッキ。 OCG出身のカテゴリだが、当時のガチカテゴリであるため、明らかに負ける要素が見当たらない。 恐らくブルーに急成長した証なのだろう。 最早レッド時代の恋する乙女の面影はない。 初期デッキはレベル8と他と比べてもずば抜けて高く、CPU相手ならそのままレイ頼みでの連勝も可能な強さのため浅い周回でのパートナーにも向いている。 リンクスでは最高レベルのレイが使用する。恋する乙女も混ざってるが明らかにライロだけで戦ってるほうが強い。 10期で追加された「トワイライトロード」もしっかり使ってくる。というより、キャラレベルアップでもらえるカードはほぼこちら。 ・霊使い デュエルリンクスで何故か割り当てられたカテゴリ。タッグフォース等での繋がりも特になく、アイドルカードであることと名前繋がりがせいぜいである。 中間レベルのレイのデッキにはダルク以外の基本全種に憑依装着、成長形態もいくつか投入されており、全部専用セリフがある。 タッグフォース3のレッド制服verエンディングではその結末に驚愕した人がいるに違いない。 だがしかし、ブルー制服verではレイを愛するプレイヤー達にとって歓喜どころの騒ぎではなかっただろう。 追記・修正は女であることを認めてからお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 似たようなポジションである前作のレベッカに比べてイマイチ活躍の機会に恵まれなかった印象。 -- 名無しさん (2014-02-10 19 51 45) アニメじゃ恋する乙女以外のモンスターが羊トークンしか確認できなかったな -- 名無しさん (2014-06-17 17 23 26) ブルーレイルートは萌え死した -- 名無しさん (2014-07-15 16 23 37) ヘルカイザー化した亮には眼中なかったな。亮もあそこで棄権しなければ優勝してたろうが。 -- 名無しさん (2015-03-31 20 48 38) ゲームのif展開とはいえ主人公と明確にくっついたヒロイン -- 名無しさん (2015-07-02 22 31 36) ↑アストラルやユベルは、主人公と物理的?にくっついただろ -- 名無しさん (2015-07-25 18 53 13) この惚れっぽい性格は将来的に危険ですわ -- 名無しさん (2015-12-10 22 22 03) ↑3 コナミ君はともかくあの十代が恋愛に興味を持つのが衝撃だった -- 名無しさん (2016-03-07 17 19 43) 十代も男の子だしね -- 名無しさん (2016-10-21 17 15 29) 3期が学園モノ投げ出してしまったから役割が皆無になってしまったのがなぁ…異世界に行って邪心経典の生贄にされても大問題だが。 -- 名無しさん (2016-10-29 12 53 54) TF3にはミスティックドラゴンのボイスが収録されている。オリジナルカードで出す予定あったんだろうな -- 名無しさん (2016-10-29 14 31 30) 一番好きな女キャラ -- 名無しさん (2017-04-06 19 48 50) アカデミア卒業後は何やるんだろ -- 名無しさん (2018-01-14 17 55 20) 意外とおぱーいあるんだよな -- 名無しさん (2018-01-15 23 36 32) あの世界は明日香でさえ高1であの感じだからレイも何年かすれば大変な事に -- 名無しさん (2018-10-21 15 25 40) 声が素晴らしい -- 名無しさん (2018-10-25 13 33 05) 再登場した時は中1ぐらいか -- 名無しさん (2018-12-11 15 41 01) 発育良いよな -- 名無しさん (2018-12-26 14 17 33) デュエルリンクスに来たか -- 名無しさん (2019-11-22 11 00 50) ようやくかって感じやね -- 名無しさん (2019-11-27 13 25 50) よく見るとOPとかEDでいいポジションとってるし当初はヒロインに添えることも考えられてた説 -- 名無しさん (2020-08-08 00 21 57) 見た目と声は文句なくかわいいんだが作中戦績は白星ゼロなのがかわいそう、相手が十代や万丈目だからまあ勝てっこないか -- 名無しさん (2020-11-25 19 34 53) GX -- 名無しさん (2021-06-05 17 32 33) GXで一番可愛い女キャラだと思ってる -- 名無しさん (2021-06-05 17 32 52) ↑一番上 相当な亀レスだがレベッカがオリキャラのくせに出しゃばりすぎって意見もあったから、今くらいの時々出て黒星多いけど印象残してくくらいがちょうどよかったかもしれん。 -- 名無しさん (2021-08-27 12 32 54) 「遊戯王のレイというキャラ」はカード含めると3人(アークのレイと戦刀機)だが前者は活躍が少ないし後者は最近漫画になった程度だからほとんどはGXのほうを思い出すよなぁ -- 名無しさん (2022-05-08 15 11 42) PSPのソフトをやってからかなり好きになったキャラ -- 名無しさん (2023-01-23 15 52 11) ミスティックシリーズのボイスも一応収録はされてるらしい……実装予定はあるんだろうか。 -- 名無しさん (2024-04-07 22 28 57) 名前 コメント
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リリカル遊戯王GX 第一話「異世界デュエル!? ハーピィ・レディVS機動六課!」 「ふう……」 フェイトは深い溜息を吐く。 ジェイル=スカリエッティ事件が終わりを告げてから数年、 六課にいた時よりもきつい激務の毎日でさすがの彼女もかなり疲労していた。 何より、なのはやエリオ達ともまともに連絡が取れていないのもかなりのストレスになっている。 「フェイトさん、大丈夫ですか?」 「あ、ティアナ……ごめんね、平気だよ」 いつの間に居たのか、ティアナにフェイトは笑顔を無理矢理作る。 自分の補佐である彼女にあまり情けない姿を見せたくない、兄であるクロノのように常に冷静な人物でありたかった。 ティアナはまだ何か言いたそうだったが、少し思案して仕方ないといった様子で口を紡ぐ。 頭のいい彼女の事だ、自分の作り笑顔など見抜かれているだろう、 それでも深く言ってこないのは、この数年の間でどれだけ自分が頑固なのか悟っているからであろう。 「フェイトさん、無理だけはしないでください。スバルから聞いたんですけど、なのはさんも心配してるそうです」 「……うん、わかってる」 なのはの名前を出されると弱い、 無理をしすぎて危うく死にかけた親友と、今の自分は似ているところがあるのだ。 だからといって執務官の仕事を放っておくこともできない、ティアナもその辺りは承知しているのだろう、 これ以上何も言う気はないようだ。 『フェイトさん、ティアナさん、八神捜査官がお呼びです』 「え、はやて?」 「八神部隊ちょ……捜査官が?」 はやてとはなのは達以上にやりとりがなくなっていた、 フェイトと同じか、それ以上に忙しい立場についているのだからそれも当然かもしれない。 そんな彼女がいったい何の用なのか? 突然のシャーリーからの連絡に二人は戸惑いながらも指定場所へと向かう。 「あ、来た来た。お久し振りや、フェイトちゃん、ティアナ」 「にゃはは、フェイトちゃん久しぶり」 「フェイトさん、お久しぶりです!」 「え……は、はやて、これ、どういう……?」 「わー、ティア、直接会うの久しぶりだねー!」 「スバル!? それになのはさんにライトニング隊まで……!?」 部屋に入った二人は面食らう。 中にはヴォルケンリッターを除いた元機動六課のメンバーが勢揃いしていたのだ。 困惑するフェイトにはやては笑顔で説明を始めた。 「ある次元世界でかなり大きな反応をキャッチしたんや、それが何かはさっぱりわからへんけど、 レリックにも匹敵するほどの魔力反応を放っておくこともできへん」 「その調査と、危険な物だとしたら回収するのが今回の任務ですー」 「ま、リミッターもはずされてるみんなには簡単な任務やな」 「そ、それはわかったけど、どうしてなのは達も? みんな部署は別々なのに……」 「最近フェイトちゃんちょお疲れとったやろ? それで不謹慎ではあるけど、 同窓会っぽくして気分転換させたろかなーってな」 聞きたいのはそこじゃない、フェイトの視線の意味に気づき、はやては笑みを深くする。 「フェイトちゃんが聞きたいのは方法やな? リンディさんやレティ提督直伝の――」 「ごめんはやて、私が悪かったから聞かせないで」 聞いたらやばい、最初の二人の人物の名前を聞いた瞬間その場の全員が同じことを思ったという。 はやては少しつまらなそうにしながら、本題へと入る。 「この次元世界、どうにも実態が掴めへんのやけど……魔物らしき生物が大量にいることは確認されとる。 ウチも行けたらいいんやけど、シグナム達が別の任務で苦戦してるみたいでそっちに行かなあかん」 「こちらとコンタクトが取れそうな生物がいたら接触してみてください、これを機会に管理世界になるかもしれないです」 全員が頷いたのを見て、はやては立ち上がり真剣な表情で全員の顔を見渡す。 「機動六課が解散してからもう何年もたった、みんなあの時よりも成長してると思うし、心配はいらないと思う。 けど、絶対に無理はせんように、全員無事で帰ってくることを優先してほしい」 そこで一つ咳ばらいをし、はやては右手を突き出し数年ぶりの命令を出す。 「元やけど……機動六課、出撃!」 『了解!』 その次元世界は一面砂で満たされていた。 砂漠であるのは間違いないが、一般的な砂漠――例えば昔にフェイトとシグナムが一騎打ちをしたような――と比べると暗い雰囲気をだしている。 そんな砂の世界で、明らかに場違いな建造物が一つ立っていた。 ――デュエルアカデミア―― デュエルモンスターズというカードゲーム専門の学校である。 カードゲームの学校? と思う人も少なからずいるだろうが、甘く見てはいけない、 このデュエルアカデミアがあった世界では、このカードゲームによって莫大な金を得た人間や、莫大な金を使う人間などが大勢いるのだ。 そんなアカデミアの正門にあたる部分、そこに二人の人間が歩いていた。 「いったいここはどこなノーネ……?」 「さっぱりわからないのであ~る。一面砂ばかりなのであ~る」 「なんだか太陽も三つに見える気がするノーネ」 デュエルアカデミアの教諭、クロノスとナポレオン。 この二人の会話からも察しできる通り、このアカデミアは元々この世界の物ではない。 元の世界で起きたある事件によって、この世界へと飛ばされてしまったのだ。 「とにかく、救助を呼ぶのであ~る」 「わかってるノーネ。警察は110番、消防は119番と……」 クロノスが携帯を操作して耳に当てるが、すぐに表情をしかめてしまう。 「おかしいノーネ、どこにも繋がらないノーネ」 「それでは救助が呼べないのであ~る! ……ん? あれは何であるか?」 ナポレオンが空を見上げて何かを発見する。 三つある太陽の影になってよくわからないが、飛行機のようなシルエットに見えなくもない。 「おお! きっと上空からの救助部隊なノーネ!」 「助かったのであ~る!」 連絡が取れなかったのにこんなにも早く救助部隊が来るわけがない。 そんな当たり前の事にも気付かないのがこの二人の欠点であり憎めない点でもある。 その飛行機に似たシルエットは二人に近づいていき、だんだんとその姿が見え――二人は悲鳴を上げて逃げ出した。 「い、いったい何なのであ~る!?」 「し、知らないノーネ!」 その姿に二人は見覚えがあった、 ―ハーピィ・レディ― 攻撃力1200 防御力800 通常モンスター 美しい女性の姿をした、腕に翼が生えているデュエルモンスターズに出てくるモンスターの一匹である。 滑空してくるハーピィ・レディをその場に伏せてやり過ごそうとするが、そのかぎ爪にクロノスは捕まってしまう。 「つ、捕まったノーネ! 助けてほしいノーネ!」 「く、クロノス教諭!」 持ち上げられていくクロノスの足に咄嗟にナポレオンが飛びつくが、 ハーピィ・レディは気にもせずに――いや、獲物が増えたと喜んでいるか?――飛び立とうとする。 「痛いノーネ、離れてなノーネ!」 「は、放していいであるか?」 「あ、やっぱりダメなノーネ!」 こんな状況下でもどこか緊迫感のない二人に、数人の高校生ぐらいの人間達、アカディミアの生徒が近づいてきた。 「あれはハーピィ・レディ!?」 「まずい、クロノス先生達が!」 生徒たちが困惑する中、青髪の青年、ヨハンに何者かが語りかけてくる。 『ヨハン、ディスクを使って私を実体化させてくれ!』 「サファイヤ・ペガサス!? よし……!」 ヨハンが声に従い左腕に装着された機械、デュエルディスクへとカードをセットする。 次の瞬間、神話に出てくるペガサスのような生物がヨハンの側に現れる。 ―宝石獣サファイヤ・ペガサス― 攻撃力1800 防御力1200 効果モンスター 「頼むぞ、サファイヤ・ペガサス!」 「任せろ、ヨハン!」 ヨハンに応え、サファイヤ・ペガサスが飛び去ろうとしているハーピィ・レディへと飛び立っていく。 人間二人という重りを持っているハーピィとの距離はあっという間につまり、ペガサスはその翼をハーピィへと向ける。 「サファイア・トルネード!」 ペガサスがハーピィに向け、羽ばたいて竜巻を起こす。 狙いたがわず竜巻はハーピィの背中に直撃し、その衝撃でクロノスを掴んでいたかぎ爪を放してよろめきながら飛び去っていった。 「た、助かったノーネ?」 「いったいどうなってるザウルス!?」 「これはソリッドヴィジョンじゃないよね……?」 語尾が特徴的な青年剣山と、黄色の服を着た小学生と間違えそうな小さい青年翔が実体化しているサファイヤ・ペガサスを見て呟く。 デュエルモンスターズはソリッドヴィジョンシステムという、ホログラフィを使って行われるのが一般的である。 本当にそこにモンスターが実在するかのような映像で、デュエルを一層盛り上がらせるのだ。 しかし、今ヨハンが呼び出したこのサファイヤ・ペガサスは映像ではなく、実体があった。 「ハネクリボー? お前も実体があるのか?」 赤い服を着た青年、遊城 十代の目の前に翼が生えた毛むくじゃらの小さく愛らしいモンスターが現れる。 ―ハネクリボー― 攻撃力300 防御力200 効果モンスター 十代の問いかけに「クリクリ~♪」と鳴いて答え、はしゃぐように十代の周りを飛び回っている。 「ここは、カードの精霊が住む世界なのか……?」 「カードの精霊? 兄貴、何言ってるドン?」 「ヘイ、ダイノボーイ、どうやらそいつを信じなけりゃ話は進まなそうだぜ」 カウボーイハットを被り、何故か背中にワニ(しかも生きている)を背負った男、ジムが空を見上げながら言い、 剣山がその視線を辿ると先ほどのハーピィ・レディが上空を飛びながらこちらを狙っていた。 「危険なのであ~る! 早く逃げるのであ~る!」 「待って、いったい何人この世界に飛ばされたのか確かめないと……」 「体育館に生徒を集めてください、現状の確認を」 パニックに陥るクロノス達と対照的に、ヨハンやきつめの印象の女性、明日香は冷静に次にするべきことを考える。 だが肝心の二人はただ自分の身を守るのに精いっぱいのようだった。 「ダメだな、ここは僕らでなんとかしよう」 「時間をかけるほど危険性が増す、放送か何か使えればいいが……」 知的な男、アモンとこのメンバーで唯一の黒人、オブライアンはあっさりと二人に頼ることを諦める。 確かにこれでは何もできそうにない「こういう時って、大人は対応できないものなのよね」と明日香が冷たく言い放っていた。 「フェイトちゃん、行くよ!」 「うん!」 「ディバイン……バスター!」 フェイトがその場を離れた瞬間、その空間を高密度、高範囲の魔力砲撃が貫いていく。 フェイトを狙ってそこに集まっていた無数の機械仕掛けの蜘蛛達が一瞬で破壊される。 ―カラクリ蜘蛛― 攻撃力400 防御力500 効果モンスター 二人が大量の雑魚を息の合ったコンビプレイで倒していっている間、他の四人は一匹の大型のモンスターと戦っていた。 「キャロ、お願い!」 「はい! ケリュケイオン、スラッシュ&ストライク!」 キャロの補助魔法を受け、エリオは目の前の巨大な亀のようなモンスターに狙いをつけ、一気に貫こうと突撃する――が、 「固っ……!?」 「エリオ君!」 「そんな、キャロのブースト付きでも貫けないの!?」 ―3万年の白亀― 攻撃力1250 防御力2100 通常モンスター ストラーダの刃は甲羅をわずかに傷つけただけで、そのままエリオは弾かれてしまう。 だが、エリオの目は「それ」を捕えていた。 「サンダー、レイジー!!」 弾かれながらも、亀に向かって雷撃を放つ。 いかに甲羅が強固であっても雷までは防げず、その巨体をよじって雷撃の主を弾き飛ばそうとする。 「スバルさん!」 「おぉぉぉぉぉぉ!!」 魔力で作りだされた道、ウィングロードが亀の甲羅の頂点へと伸びる。 スバルは魔力を高めながらその道を疾走していく。 それを見た瞬間、ティアナは自らの周りにいくつもの魔力球を生み出した。 「スバル、クロスシフトD、行くわよ!」 「OK!」 機動六課にいるころは結局見せることのなかった新しいクロスシフト、 数年前に練習しただけだが、二人の目に失敗するかもしれないという怖れはまったくなかった。 「クロスファイア……シュート!」 「いくよ、マッハキャリバー!」 『All right buddy』 ティアナの魔力球がスバルの目の前、そしてターゲットの間近で収束し、大きく膨れ上がる。 魔力球同士がぶつかりあってはじけ飛ぶ瞬間、スバルはリボルバーナックルでその巨大な魔力球を雷に苦しんでいる甲羅へ叩きつける! 「一撃、必倒!」 甲羅が砕け、スバルは甲羅の内部で魔力球を解放する。 「クロスファイア……バスター!!」 「いいね、しばらく会ってなかったのに、チームワークとか凄くよくなってる」 「ありがとうございます!」 この世界にやってきた途端に無数の魔物に襲いかかられ、なのは達は止む無く戦闘に突入する事になっていた。 それを粗方片付けた後、なのはに褒められてスバルは嬉しそうに笑顔で返す。 「それはいいけど、あのクロスファイアバスターって何よ?」 「えへへ~、ティアのクロスファイアを、私のディバインバスターみたいに相手に叩きつけるからクロスファイアバスター、言い名前でしょ!」 「……あんたのネーミングセンスの無さはよくわかったわ」 「あ、あの、いつまでもここに留まっているとまずいのでは……」 「またモンスターが襲ってくるかもしれないですし……」 「うん、二人の言う通りだね。なのは、どうする?」 言いながらフェイトはある方向へ視線を向ける。 そこにはこの世界に不似合いな建造物――デュエルアカデミアがあった。 外にいてはいつモンスターに襲われるかわからない、だが、あからさまに怪しいあの建物は本当に安全なのだろうか? 思考を巡らしていると、近くから男の悲鳴が聞こえてきた。 「今のは!?」 「あそこ! 誰か襲われてる!」 戦闘機人ならではの視力でスバルが悲鳴の主を見つけ、ウィングロードで先行する。 なのは達もすぐにそれを追い、段々と男を襲っている正体が見えてくる。 「でっかい亀と機械クモの次は鳥人間!?」 「空中戦……私とフェイトちゃんで行くよ、みんなはあの人を!」 『了解!』 簡単に打ち合わせをし、先行していたスバルがウィングロードを男とモンスター……ハーピィ・レディの間に走らせ注意を向ける。 ハーピィはそのままスバルを狙おうとするが、フェイトがハーケンフォームのバルディッシュでかぎ爪を受け止めた。 「このぐらいの攻撃なら、私でも止められる……!」 自分の攻撃が効かないと気づいた瞬間その場から離れ、更にフェイトの横に並んだなのはを見て顔を顰める、 だが、次の瞬間その表情は笑みに変わり、次の瞬間ハーピィの背後が万華鏡のように輝き出す。 ――そして次の瞬間、二人はハーピィを見て驚愕することとなる。 「嘘……?」 「増えた……!?」 一瞬の間にハーピィが髪型だけを変えた三人に増え、更に金属質なボンテージを着こんでいた。 それを地上から見ていた襲われていた男は、なのは達に向かって叫ぶ。 「気をつけろ! 万華鏡―華麗なる分身―とサイバー・ボンテージを使ったんだ!」 ―ハーピィ・レディ三姉妹― 攻撃力1950 守備力2100 効果モンスター(サイバー・ボンテージの効果で攻撃力500アップ) 三匹のハーピィは息の合った動きで二人をかく乱していく、先ほどとはまったく違う動きに戸惑いながら、フェイトはなんとか反撃しようとする。 「プラズマランサー、ファイア!」 雷撃を纏った魔力球がハーピィの内一匹を襲うが、直線的なその攻撃は回避されてしまう、 だが、ハーピィが避けた先には桜色の魔力球が設置されていた。 「――!?」 「アクセルシューター!」 なのはの攻撃がまともに当たるが、ハーピィは多少ダメージを受けた様子を見せただけで倒れてはいなかった。 「そんな、なのはさんの魔力球を喰らって無事なの!?」 「は、ハーピィ・レディ三姉妹にサイバー・ボンテージを装備したら攻撃力2450……並大抵の攻撃じゃ、太刀打ちできない……」 「だから、さっきから攻撃力とか何なのー!?」 「……もしかして、あの魔物達って三匹で一匹、みたいな存在なんですか?」 男の言葉に違和感を感じたキャロが問いかける。 男は苦しそうにしながらも、それに頷いて肯定した。 「キャロ、どうするの?」 「三匹で一匹……なら、一匹だけでも切り離せれば! 連結召喚、アルケミックチェーン!」 キャロが鎖を召喚し、フェイトの背後から襲いかかろうとしていたハーピィを拘束する。 鎖をはずそうとハーピィがもがくたび、キャロの鎖はきしんでいく。 「なんて、力……なのはさん、フェイトさん、今です!」 「キャロ……ありがとう! バルディッシュ、サードフォーム!」 「いくよ、レイジングハート!」 捕らえられたハーピィへ二人は狙いをつけ、その隙を狙おうとした二匹のハーピィの目の前を魔力球が通り過ぎる。 「こっちの事も忘れてもらっちゃ困るのよ!」 ティアナに気を取られている間に、なのはとフェイトは準備を完了する。 「ジェットザンバー!」 「ディバイーン、バスター!!」 雷を纏った巨大な剣と魔力砲撃、二人の同時攻撃を受けてさすがのハーピィも倒れ伏す。 その姿を見て、残る二匹のハーピィも慌ててその場から飛び去っていった。 「やった! さすがなのはさんとフェイトさん!」 「……君たちは、いったい何者なんだ? デュエルモンスターズのキャラではないみたいだが」 「デュエ……? 私たちは時空管理局所属の魔道士です、私たちについて詳しい事は後でお話しますが、今はどこか落ち着ける場所に行きたいのですが」 こんな場所で話していてはまた何かに襲われかねない、だからといって安全な場所があるかどうかもわからないが、 わずかな期待を胸に問いかけると、男は「本当に安全か保障はできないが……」と呟いてある場所を指す。 その先には、デュエルアカデミアがあった。 続く 翔「変な世界には来ちゃうし、魔法使いなんて出てくるし、僕たちどうなっちゃうんだろう……」 十代「魔法かぁ、面白そうだよな! 俺も使ってみたいぜー!」 翔「兄貴は単純で羨ましいっす……」 次回 リリカル遊戯王GX 第二話 魔法とデュエルと謎の敵なの! 十代「ヒーローにも魔法使いとかいないのかなぁ!」 翔「素直に魔法使い族を入れるべきっす……」 十代「さあ、今週の最強カードは……って、なんかいつもと雰囲気が違うぞ!?」 なのは「今週の最強カードはこれだよ!」 サンダーレイジ 魔法カード 相手フィールドの全ての水属性か機械族のモンスターの攻撃力・防御力を半分にする。 なのは「それじゃあ、次回もよろしくね♪」 十代「あ、あんた誰だよ!?」 目次へ 次へ
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リリカル遊戯王GX 第十話 キャロの決意! 突き抜けろスターズ! ―ヨハン LP4000― ―仮面(無) LP4000― 「お前の先行だ、来い!」 ヨハンは無表情の仮面に叫ぶが、仮面(無)はカードをドローし、そのままターンを終了する。 ――何もしないだと? 手札事故か、何かの罠か……? 不可解な動きに警戒しながら、象の姿をしたモンスターを呼び出す。 「宝石獣、アンバーマンモスを召喚! 気をつけろ、何かを企んでいるかもしれない!」 「任せておけヨハン、はね飛ばしてくれる!」 ―宝石獣 アンバーマンモス― 攻撃力1700 効果モンスター ヨハンに応え、アンバーマンモスが突進しながら鼻を振りまわして仮面(無)を弾き飛ばす。 ソリッドビジョンなどではないその光景にヨハンは思わず顔をしかめるが、仮面(無)は何事もなかったかのように立ちあがり、元の位置へ戻る。 ―仮面(無) LP2300― 「何も仕掛けてこなかった? 不気味だぜ……!」 ―オブライエン LP4000― ―仮面(笑) LP4000― 「こっちの先行だってさ、笑えるぅ! カードを一枚伏せちゃって、フール・クラウンをお召喚、いらっしゃ~い」 終始笑いっぱなしの仮面(笑)がモンスターを召喚する。 ―フール・クラウン― 攻撃力0 守備力? 効果モンスター 「このモンスターを召喚すると、自分の手札を全部捨てないといけないんだってさ! 笑えるぅ!」 更に笑いを深くする仮面(笑)だが、オブライエンは表情一つ変えずに佇んでいる。 「あれぇ、笑えない? なら、これならどうかな?」 ふざけたように体ごと首をかしげながらこれから捨てる手札を見せ――わずかにオブライエンの表情が歪んだ。 「ひゃはは! 今捨てたラフ・ボンバーは、フール・クラウンが場にいる時墓地から除外することで相手に500ポイントダメージを与えるんだってさ! それが三枚! わっらえるぅ!」 仮面(笑)の声と共にフール・クラウンがラフ・ボンバーを投擲する。 その内の一発がフリードの火球によって撃ち落とされるが、残る二発はオブライエンのライフを削り取る。 ―オブライエン LP3000― 「くっ……すまん、助かる」 「キュル~」 「あっれぇ? 邪魔されちゃったよ、笑えるぅ!」 ―ジム LP4000― ―仮面(怒) LP4000― 「ヘイ! Youの先行だぜ!」 「言われるまでもない! カードを一枚伏せて、怒れるアンカーナイトを召喚!」 怒声を響かせながら、両腕がアンカーになっている戦士が召喚される。 ―怒れるアンカーナイト― 攻撃力1500 守備力600 その戦士がアンカーを構えるが、その状態のままキャロの鎖に捕らえらて動きを封じられてしまう。 「テイマーガール!?」 「ジムさん、援護します!」 キャロの声にジムは笑顔を浮かべるが、仮面(怒)表情を怒りに染めたままターンを進めていく。 「邪魔な小娘が! 俺の怒りを受けろ、スマッシュ・アンカー!」 「っ!? まずい、避けろテイマーガール!」 仮面(怒)が手札を3枚捨て、鎖に捕らわれているアンカーナイトがその不自然な体勢から両腕のアンカーを発射する。 右腕のアンカーがキャロへと放たれ、咄嗟に障壁を張るがそれごと吹き飛ばされてしまう、 ジムがそれに気を取られた瞬間左腕のアンカー、そしてキャロを襲ったアンカーがジムの前後から攻撃を仕掛ける。 「shit!」 珍しく毒づきながらも身を捻り、直撃することだけは避ける。 どちらにせよLPは削られるが、あんなものをまともに受けてはデュエルを続けるどころではなくなってしまう。 ―ジム LP2800― 「怒れるアンカーナイトの効果、手札を一枚捨てる毎に相手に600ポイントのダメージを与える! カードを二枚伏せ、ターンエンド!」 「なるほど、身動きしなくても問題なしってことか、やるじゃないかアングリーボーイ!」 なのははゾンビ達をできる限り無視し、全速で体育館へと向かいながら、自分の愚かさに顔を歪めていた。 デュエルをしに向かう十代達の援護に向かう。そのことのみに捕らわれ、スバルとティアナの事を考えていなかったのはあまりにも迂闊である。 体育館への道はバリケードが作られているが、それも急造の物だ、信頼性には欠けてしまう。 更にバインドがかけられてるとはいえ、同じく体育館にいるフェイトとエリオ、今までは止められていたがあの二人もかなりの腕の魔道士だ、 何度もかけられたバインドへの対策が無いとは限らない。 もしもゾンビがバリケードを破って侵入したら? フェイトとエリオがバインドを破ったら? 改めて考えるまでもない、スバルとティアナがゾンビの仲間入りをするだけだ。 「っ……!」 気力を振り絞り、飛行速度を更に上げる。 積み上げられたバリケードの一部を破壊し通過、体育館の扉を開け―― 「なのはさん、避けて!」 「え!?」 スバルの声に、反射的にレイジングハートを振り上げる。 ほぼ同時にバルディッシュの刃が叩きつけられ、なのはの表情が険しくなる。 「来てくれたんだねなのは、嬉しいよ……」 「フェイトちゃん……! バインドを破ったの!?」 「私となのは、何度模擬戦をやったと思ってるの? もうなのはの魔法は全部覚えてるよ?」 「っ……! スバル、ティアナ、大丈夫!?」 楽しげに言うフェイトと鍔迫り合いながら、エリオの攻撃から逃げ続けている二人へと問いかける。 先ほどまでは動くことすら困難だったはずの二人は、エリオの攻撃を――先ほどまではフェイトも加わっていたであろう――凌ぎ続けていた。 「はい! みんな慌てて外へ向かったせいか、結構カードが落ちてて……」 「体力を回復させるカードを使わせてもらいました! 魔力は戻ってないですけど、かわすぐらいなら!」 確かに改めて床に目をやると色々なカードが散乱している。 実は散らばっているカードの中には使えば二人の攻撃などあっさり防げる物も数多く残っているのだが、なのは達ではそのことに気づけない、 実際、「治療の神 ディアンケト」などと分かりやすい名前のカードがなかったら二人ともやられていただろう。 『この空間じゃ二人の方が圧倒的に有利……何とか外に出よう』 『で、でも外まで行ったら、他のみんなが……』 『わかってる、だから向かうのは逆方向、つらいだろうけど頑張って、二人とも!』 『はい!』 念話でどう動くかを決め、なのははフェイトの真後ろに魔力球を生み出し解き放つ。 いち早くそれを察知したフェイトは軽くその魔力球を回避し、そのまま追尾してきたそれを斬り捨てる。 わずかに開いた、フェイトにとっては詰めるのに一瞬も必要ないほどの間――だが、一瞬もいらないのはなのはも同じだった。 「魔法カード、光の護封剣!」 「っ!?」 レイのカードから生み出された巨大な光の剣がフェイトとエリオの周囲に降り注ぎ、そのまま二人を拘束する。 自分たちの知っている魔法とはまったく違うそれに対処できない二人を残し、スターズの三人は近くにあったカードを適当に掴み取り、裏口の方向へと駆け出していった。 「キャロちゃん、大丈夫?」 「は、はい……これくらい、平気です!」 怒りのアンカーナイトによって吹き飛ばされたキャロをレイ達が支える、 その場の視線がキャロに集まった瞬間、何を思ったかナポレオン教頭はアカデミアへと駆け出していく。 「ナポレオン教頭!?」 「何を考えてるノーネ!?」 「オブライエンとジムは序盤から苦戦か……頑張ってくれよ……!」 「十代様!」 「レイ? キャロちゃんは大丈夫なのか?」 「はい! これぐらいで負けません!」 瞳に強い意志を込め、キャロは再びジム達の下へと駆け出す。 心配しながらも再び応援に戻ろうとした十代を、レイは引っ張りアカデミアの方へ連れて行こうとする。 「お、おいレイ!?」 「早く十代様! ナポレオン教頭がアカデミアの中に行っちゃったの!」 「な、なんだってー!?」 「私のターン、カードを引き、ターンを終了する」 「馬鹿な、また何もしないのか!?」 仮面(無)の意図のわからない行動にヨハンは困惑しながらも相手の様子を窺う。 「手札が七枚のため、任意のカードを一枚墓地に捨てる」 ――動いたのか? それとも何か別の……く、行くしかない! 警戒しながらも、ヨハンがカードを引き―― 「墓地の魔法カード、沈黙の痛み発動。 相手のスタンバイフェイズ時、墓地にこのカードしかない場合相手のモンスターを全て破壊し、 1000ポイントのダメージを与える」 「何!?」 「うおおおおお!!」 アンバー・マンモスが倒れ、宝石がヨハンの場に現れる。 ―ヨハン LP3000― 「くそ、こいつを狙ってたのか……だが、例え毎ターン破壊されようとも、モンスターさえ召喚できれば攻撃はそのまま通る。 やっかいな相手だが、勝機は十分にあるぜ! 俺はトパーズ・タイガーを攻撃表示で召喚!」 ――宝玉獣 トパーズ・タイガー―― 攻撃力1600 守備力1000 効果モンスター 「俺に任せな、ヨハン!」 「頼むぞ! トパーズ・タイガーでこうげ――」 「沈黙の虚空の効果を発動。墓地に沈黙の痛みがある時、このカードを除外することで相手モンスターを一体破壊する」 「なっ!」 「ぐあああ!!」 呼び出したばかりのトパーズ・タイガーを破壊され、ヨハンは何もできないままターンを終了する。 仮面(無)もやはりカードを引くだけでターンを終了させた。 「こいつ、あくまでモンスターを召喚しない気か……俺のターン! ドロー!」 「この瞬間、墓地の沈黙の痛み発動、1000ポイントのダメージ……さらに、沈黙の激痛を発動」 「別の魔法カードか!」 「沈黙の痛みの効果が発動した時、このカードを除外することで相手に更に1000ポイントのダメージを与える」 「うわああああ!!」 ―ヨハン LP1000― 「ま、まずい……このままじゃ次のターン、俺は負ける……!」 「俺は風化戦士(ウェザリング・ソルジャー)を攻撃表示で召喚!」 ―風化戦士― 攻撃力2000 守備力1200 効果モンスター 「いけ! 風化戦士で攻撃!」 ジムのフィールドに召喚された岩の戦士が、身動きの取れない怒りのアンカーナイトを斬り裂こうとする。 「速攻魔法発動! 突進! ターン終了時まで一体の攻撃力を700ポイントアップする!」 「しまった!?」 魔法カードによって攻撃力が逆転された風化戦士はアンカーナイトに攻撃を弾かれ、そのまま自壊を―― 「ケリュケイオン! ブーストアップ!」 「何だと!?」 キャロのブーストを受け、風化戦士は再び切り掛かり今度こそアンカーナイトを破壊する。 ―仮面(怒) LP3800― 「200削った……テイマーガールは攻撃力を500ポイントも引き上げられるのか……!」 「き、効いて良かった……」 仮面(怒)は顔をしかめるが、次の瞬間地面から一本のアンカーが放たれ、風化戦士の体を捕えてしまう。 「ワッツ!?」 「怒りのアンカーナイトは、手札を一枚捨てることで表側守備表示で復活する! 更なる怒りと共に!」 アンカーをたぐるように、怒りのアンカーナイトが地面から再びフィールドに現れる。 キャロが身構えるが、この相手に鎖による拘束は無効であることはすでに理解しているため動けない。 「くっ、風化戦士は自分のエンドフェイズ毎に600ポイントダウンする……」 「俺のターン! 怒りのアンカーナイトを攻撃表示にし、罠カード、ヴァイオレント・サルベージ! アンカーナイトが場にいる時、自分の墓地のカードを上から三枚手札に戻す。そのカードは使用することができない」 「使用できない……? そんなことをして、いったいなにを……」 キャロは困惑するが、仮面(怒)は手札に戻したばかりのカードを墓地に捨ててしまう。 「ジャストモーメント! まさか!?」 「アンカーナイトの効果! 手札を三枚捨て、1800ポイントのダメージを与える!」 「くっ!」 「ジムさん!」 展開についていけなかったキャロの障壁も間に合わず、ジムの足元にアンカーが直撃しライフが削られる。 ―ジム LP1000― 「更に、怒りのアンカーナイトで風化戦士を攻撃!」 「くっ、風化戦士の攻撃力は1400に下がっている!」 ―ジム LP900― 「こいつは、少しきついかもな……!」 ――全ての生徒たちがこのデュエルに注目している。この状況はまずい……そうか! このデュエルは囮か!? このデュエルについて、一つの結論に達したオブライエンは速攻で終わらせようと勝負をかける。 「俺のターン、ドロー! カードを一枚伏せ、ファイヤートルーパー召喚!」 場にモンスターが現れるが、一瞬にしてそのモンスターは消え去ってしまう。 「あれ? 帰っちゃったよそのモンスター、笑えるぅ!」 「ファイヤートルーパーは召喚に成功した時、相手に1000ポイントのダメージを与えて墓地に送られる」 ―仮面(笑) LP3000― 「あれ? 減ってるよぉ、だけど笑っちゃう。墓地のラフファイトを除外することで、受けたダメージと同じ分だけ相手にダメージを与えちゃうんだもんねぇ!」 「っ……!」 ―オブライエン LP2000― 「手札から魔法カード、ファイヤー・バックを発動! 手札から炎属性モンスターを一体墓地に送り、墓地の炎属性モンスターを一体特殊召喚する! 墓地に送ったカードはヴォルカニック・バックショット、こいつは墓地に送られた時、相手に500ポイントのダメージを与える」 ―仮面(笑) LP2500― 仮面(笑)の体を炎が包むが、仮面(笑)は相変わらず楽しそうに笑い―― 「そして、ファイヤー・トルーパーを特殊召喚! 召喚に成功したことで墓地に送られ、また1000ポイントのダメージを与える」 「は、ははは……」 ―仮面(笑) LP1500― 「更に、ファイヤー・バック発動!」 「も、もう一枚あったの!?」 仮面(笑)が動揺している間に、再びヴォルカニック・バックショットが捨てられライフを削る。 ―仮面(笑) LP1000― ここで完全に、仮面(笑)から笑いが消えた。 ――ま、まずい、ここでファイヤー・トルーパを召喚されたら負けちゃう……! 「お、お願い! 一手待って! もう笑わないから!」 オブライエンは土下座して懇願する仮面(笑)を見て―― 「ヴォルカニック・バックショットを特殊召喚! ターンエンドだ」 「嘘!? 本当!? 奇跡!」 ――ばーか、次のターン、魔法カードで除外されたラフボンバーを場に戻せばお前は爆死、笑えるぅ! 「僕のターン、ドロー……お?」 オブライエンは仮面(笑)の方を振りかえろうともせず、その場を立ち去っていた。 場に開かれた一枚のカード、その効果を読み上げ―― 「ドローボム、相手がドローした時に1000ポイントのダメージを与える……!?」 そして気づく、いつの間にか自分の足元に爆弾が現れていることに。 「わ、笑えねぇぇぇぇ!?」 ―仮面(笑) LP0― 「このデュエル、嫌な予感がする……!」 「マルタン……どこであるかマルタン……!」 なのは達の方に向かっているのか、思ったよりも少ないゾンビ達をかわしながら、ナポレオンはマルタンの姿を探し続ける。 無謀すぎる行動ではあったが、彼はそれほどマルタンが大切なのだ、何故なら―― 「ナポレオン教頭!?」 「ぬ!? ま、魔法使い達であるか!?」 その時、体育館から撤退してきたなのは達が丁度やってきて互いに顔を見合わせる。 何故こんな場所にいるのかなのはが問いかけるよりも早く、ナポレオンは探していた人物の姿を発見し、そちらへと駆け出す。 「マルタン!」 「ちょ、ちょっと!?」 「どうしよう……!」 「――っ、予定通りこのまま裏の方へ、ナポレオン教頭一人を守るほうがまだ楽なはず……!」 一瞬迷いながらも、ナポレオンを追いかけるように走り出す。 幸運なのか、その方向にゾンビはおらず、全員何事もなく外に出る。 少し遅れてナポレオンを追ってきた十代とレイも加わり、六人でそこにいた一人の人間と対峙することとなる。 「マルっち……!」 「マルタン! ここにいたのであるか!」 「な、ナポレオン教頭、落ち着けって!」 飛びかからんとする勢いで駆け寄ろうとするナポレオンを十代が引きとめる。 その様子を見てマルタンは何かに気づき、面白そうに自分の体を見つめて呟く。 「そうか、君の心の闇の正体はこれだったんだね……」 十代達を振り切り、ナポレオンはマルタンの前でなのは達から守るように立ちふさがる。 「ナポレオン教頭、いったい何を!?」 「ま、マルタンは吾輩が守るのであ~る! 酷いことはしないでほしいのであ~る!」 「教頭、どうしてそこまでマルっちのことを……」 レイの問いにナポレオンはしばらく視線を彷徨わせ、意を決したように口を開いた。 「マルタンは……吾輩の息子なのであ~る」 『息子!?』 「で、でも苗字が……」 「ま、マルタンは別れた妻との息子なのである……」 「別れたって、初耳だぞ!?」 何やら騒いでいる十代達はこの際無視し、なのははマルタンをじっと見つめる。 先ほどからマルタンは十代しか見ていなかった、加えて言うなら、どこか熱っぽい瞳で見つめているのだ、 その姿になにか違和感を覚えながらも、その左腕に注目する。 先ほどまでは気づかなかったが、強力な魔力反応……おそらく、ここに来る羽目になった魔力反応と同一の物だろう。 何故マルタンが持っているのかは分からないが、それさえ確保できればなんとかなるかもしれない……そう思った直後、いくつもの気配を感じ後ろを振り返る。 「しまった……!」 「ま、マジかよ!?」 マルタンに気を取られすぎた、アカデミアの方向から、フェイトとエリオを先頭としたゾンビ達が取り囲むように迫ってきていた。 「マルタン! いったい何をする気……そうか! デュエルをしてる間に発電施設を――って、あれ? ここ、発電施設じゃないぞ?」 「ふふ、十代、君が喜ぶ事さ、それに、場所もここでいいんだ、ここにこそ、僕の望むもの……三幻魔のカードは眠っている!」 続く なのは「魔法を封じる相手!? こんなの、どうやって戦えば……三幻魔は任せたよ、十代君!」 十代「くそ、翔、万丈目、そこをどいてくれ! ……アモン? お前、何をする気だ!?」 次回 リリカル遊戯王GX 第十一話 驚異の魔法封じ! ホルスの黒炎竜の襲撃! なのは「みんなだけは、絶対に守ってみせる……!」 フェイト「なの……は……?」 なのは「今週の最強カードはこれだよ!」 ―レイジングハート― 装備魔法カード 「なのは」と名前が付くモンスターのみ装備可能。 装備モンスターの攻撃力を300ポイントアップする。 装備モンスターが相手プレイヤーに戦闘ダメージを与えた時、相手の山札の一番上のカードを墓地に送る。 なのは「私のパートナー、これからも、ずっと一緒だよ♪」 十代「次回もよろしくな!」 前へ 目次へ 次へ
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リリカル遊戯王GX 第八話 恐怖のバーンデッキ! 守り抜けブラストフレア! なのはが人生初の告白に困惑している頃、天井裏では十代とヨハンの二人が保健室へ向けて進んでいた。 「っ!? 十代、あれを!」 「保健室の天井が、開いてる!?」 真下には保健室があるであろう位置、 そこの天井の一部が無理矢理破られていた。 すでにゾンビが入り込んでいたのかと焦り、二人は急いで保健室の中へと降り立つ。 「鮎川先生、レイ! 無事か!?」 荒れている室内を見渡し、ベッドに眠っているレイとその傍に座っている鮎川を発見する。 無事だったとほっとしながら声をかけるが、鮎川はこちらを向こうとしない。 「鮎川先生? 薬を持ってきたぜ、早くレイに……」 「……薬? ああ、そうだったわね……でもね、ダメなのよ」 「え……?」 それはどういう意味なのか、 もうレイは手遅れだったのか、自分たちが来るのが遅すぎたのか。 十代は愕然とするが、どうにも様子がおかしい鮎川にヨハンは警戒を強める。 「だって……レイちゃんにはこのまま仲間になってもらわないとねぇ!」 「なっ、鮎川先生も!?」 「十代、気をつけろ!」 ヨハンの言葉に回りを見ると、すでに入り込んできていたであろうゾンビ生徒達が物陰から現れる。 二人はディスクを構えるが、鮎川が他のゾンビ達を制止した。 「ダ・メ・よ……この子達は、私の獲物なんだから、ウフフ……」 「くっ、鮎川先生をなんとかしないと、レイに近づけない……!」 「鮎川先生、俺が相手だ!」 ヨハンはレイの側から鮎川を引き離そうと考えるが、 その間に十代が前に出てディスクを展開する。 「十代!? ここは俺が――」 「いや、ヨハンは砂漠でデュエルをしちまってる! ヨハンはレイを頼む!」 「くっ……わかった!」 鮎川がディスクを展開する一瞬の隙をついて、ヨハンはレイを抱きかかえてその場を離れる。 だが、扉の前に他のゾンビ生徒が立ちふさがりヨハン達の逃げ場を塞いでいた。 「ダメよ……みんなここで仲間になるんだから……」 「鮎川先生……ちくしょう、デュエル!」 ―十代 LP4000― ―鮎川 LP4000― 「私のターン、堕天使ナース-レフィキュルを召喚」 鮎川の場に、全身を包帯で巻かれた悪魔の羽を持った看護師のようなモンスターが召喚される。 ―堕天使ナース-レフィキュル― 攻撃力1400 守備力600 効果モンスター その召喚された時の衝撃が狭い室内で暴れまわり、壁や天井の一部が軋みをあげる。 「うわっ! こんなところだと、モンスターを召喚するだけで一騒動だぜ……」 「二枚のカードを伏せ、ターン終了よ」 予想以上の衝撃に部屋が大丈夫か不安に思いながらも、十代はカードを引く。 「俺のターン、ドロー! 魔法カード融合を発動、手札のフェザーマンとバーストレディを融合! フレイムウイングマンを特殊召喚!」 ―E・HERO フレイムウイングマン― 攻撃力2100 守備力1200 融合・効果モンスター 翔達から逃げる時に呼び出したしたモンスターを再び召喚するが、その瞬間鮎川の場のカードが発動する。 「永続トラップ発動、ダーク・キュア! 相手の場に召喚されたモンスターの攻撃力の半分の数値分、相手のライフを回復する!」 「なっ、俺のライフを回復? いったい何を……」 「更に堕天使ナース-レフィキュルの効果発動、相手のライフ回復効果が逆転する。喰らいなさい!」 「うわぁぁぁぁ!! く、くそっ……そういうことかよ……!」 ―十代 LP2950― 「十代!」 「だ、大丈夫だ! 要はレフィキュルを倒せばいいんだろ、攻撃力はフレイムウイングマンのほうが高いぜ!」 「残念ね、永続トラップ、サディスティックポーション発動。相手にカードの効果でダメージを与えたターン、一体のモンスターの攻撃力を1000ポイントアップ!」 ―堕天使ナース-レフィキュル― 攻撃力2400(ターン終了時まで) 「なっ! フレイムウイングマンの攻撃力を上回った!?」 「ちゃんと予防接種はしないとダメよ? うふふ……」 「くっ……俺はカードを三枚伏せ、ターンエンド……!」 ティアナの放った魔力球が斧を持った戦士のモンスターに斬り捨てられる。 ―アックスレイダー― 攻撃力1700 守備力1000 通常モンスター その隙に脇を駆け抜け前方の敵の配置を確認する。 スバルもティアナもほとんど魔力が残っていない、その上スバルはエリオとフェイトの二人を背負っているため反撃することもままならなかった。 最小限の牽制をかけてわずかな隙を100%以上活用、それでもこの包囲を突破できるかはわからない状態だ。 「ティア、また来るよ!」 「わかってる! 二人を落とさないでよ!?」 ディスクを構えるゾンビに向かってクロスミラージュを向け、 その射撃から主を守ろうと巨大な盾を持ったモンスターが射線上に割り込んでくる。 ―ビッグ・シールド・ガードナー― 攻撃力100 防御力2600 効果モンスター ティアナはその巨体と盾によって視界が塞がれたそのゾンビを無視し、そのまま走り抜ける。 最小限、最低限の動きで包囲網を突破し――背後から聞こえてきた悲鳴に足を止めてしまう。 「スバ――っ!?」 「ティア、避けて!!」 目を覚ましたエリオが暴れ、それを抑えながらスバルが叫ぶが、その瞬間にはティアナの体に飛来した鎖が巻きつき捕らえられていた。 焦りながら鎖をはずそうともがくが、鎖は更にティアナの体を締め上げる。 スバルもフォローに回りたかったが、フェイトを背負いバインドがかかっているとはいえ暴れるエリオを抑えていては身動きがとれない、 そんな二人へ「鎖付きブーメラン」を持ったアックスレイダーが迫るが、白い影が飛び込んできた。 「フリード!」 「チビ竜!?」 突然現れたフリードに驚く間もなく、アックスレイダーへ火球を放って吹き飛ばし、フリードはエリオの側へと飛んでくる。 「キュル……」 「ふ、フリード、ダメだよ……今のエリオは……!」 「フリードも、戦いたいのかい……?」 フリードはスバルに抑え込まれながらも呟くエリオの瞳をじっと見つめ―― 「キュウ」 火を吐いた。 「うわぁ! エリオー!?」 「ち、力づくで黙らせるって……キャロと一緒の時は気付かなかったけど、意外と鬼なのね、あんた……」 スバルは再び気絶したエリオを抱きかかえ、なんとか鎖から脱出したティアナと共に走り出す。 フリードが前に出てゾンビやモンスターたちを牽制していく、 頭数が一人増えるだけで取れる戦略は膨大に増える。 それは逆に非効率的な行動を取りやすくもなるということだが、ティアナはそんなミスは犯さず、フリードとスバルに的確な指示を出しながら通路を駆け抜けていった。 アモンが戦っていたゾンビが倒れ伏す。 デュエルに勝利し、デスベルトによる虚脱感に顔を顰めながらもこれからの行動に関して思考を巡らせる。 このまま保健室に向かっても、十代達がすでにレイを救助している、もしくは敗北してゾンビ化しているかのどちらかだろう、 ならば先に体育館へと向かい、守りを固めていた、と言う方がメリットが大きい。 「ちっ、長々と考える時間もないか」 起き上がり始めたゾンビに舌打ちしながら、体育館へと駆け出していく。 「待ってろよ十代、すぐに行くぜ!」 ゾンビを倒し、ジムは迷わず保健室へと向かっていた。 だが、彼の前に新たなゾンビ達が立ちふさがりディスクを展開する。 「くっ! 次から次へと……このままじゃ……!」 オブライエンはゾンビ達から逃げながら思考を巡らせる。 なのはの援護で大分数は減ったが、だからといってまともに戦ったのでは別のゾンビが来る可能性が高い、 向こうも手間取っているのか、なのはが駆けつけてくれる様子もなく、オブライエンは自力でゾンビ達を撒くルートを考えそちらに進路を変えた。 なのはは早くオブライエンの援護に向かいたかった、それなりの数は引き付けたとはいえ、まだまだ彼に向かったゾンビは多いのだ。 だが――それ以上にこの目の前の状況をなんとかしなければならなかった。 「うおおおおお! 彼女には触れさせない!!」 「……ユーノくーん……」 恐らくなのはとの距離が最も近いであろう無限書庫の室長の名前を思わず呟きながら、なのはは頭を抱える。 バスターブレイダーは確かに強い、力だけでなく、その剣技も目を見張るものがあった、 自分とフェイトの二人がかりで戦ってもかなり苦戦をするであろう、そんな彼(?)が味方になってくれたのは心強いのだが―― 「今度こそいくよ、レイジングハート!」 『……All right』 疲労など感じないはずのレイジングハートの声が疲れたように聞こえたのはなのはの気のせいではないだろう。 何しろ―― 「アクセルしゅ――」 「うぉりゃぁ!」 『……』 なのはが狙いを付けた端からバスターブレイダーが斬り裂いていき、なのはは先ほどからさっぱり攻撃ができていない、 どうやら「なのはが迎撃態勢に入る」→「なのはが狙ってる敵はなのはを攻撃しようとしている」→「やらせるか!」という凄まじい思考が働いているようだ。 このままではバスターブレイダーに任せるしかなく、一体ずつしか倒す術のない彼のみではここにいるゾンビ達をたおすのには時間がかかってしまう。 「ば、バスターブレイダーさん……でしたっけ?」 「ええ、その通り! 何かあったか!? おおっとさっきの返答ならばこいつらを倒してからで構わないぞ!」 『マスター、後ろから撃ち抜きましょう。その方が早いと判断します』 「レイジングハート、落ち着いて……そ、その、私仲間を待たせているので、急ぎたいのですけど……」 何故か敬語になってしまうなのはに、バスターブレイダーは少しだけ思案し……大きく頷く。 そしてどうするかと思ったら――今まで迎え撃っていた戦法を突如変え、相手へ目掛けて突っ込んでいく! 「ふ、ふぇ!? そんな無茶な!」 「足りない! 足りないぞぉ!」 心配するなのはを余所に、一斉に襲いかかってくるモンスターたちを次々と斬り裂きながらバスターブレイダーは叫ぶ。 「貴様たちに足りないもの、それは!」 次々と散っていくモンスターたちにゾンビは焦り、カードをセットしていく。 「情熱思想理念優雅さ勤勉さぁ! そしてなにより――」 どこかで聞いたようなセリフを吐きながら大きく剣を振りかぶり―― 「愛が足りないっ!!」 最後の一体を真っ二つに切り裂いた。 なのははあまりの光景に唖然とするばかりで、バスターブレイダーはそんな彼女に兜の下で笑いながら振り返り――砕け散る。 「え……!?」 「トラップカード、道連れ発動……自分のモンスターが破壊された時、相手のモンスターを一体破壊する……」 「そ、んな……!」 別段、なのははバスターブレイダーを仲間だとも思ってはいなかった。 戦いの中で召喚された以上、どちらが勝ったにせよそのバトルが終了すればその時点で消えてしまう運命なのだ。 いくらなのはでも、そのような存在に情を持つほど愚かではなく、むしろしつこい求愛から逃れられて助かったぐらいである。 そう、だから―― 『……マスター』 「……本当に、カードゲームなんだね。こんなにも、あっさりと……」 だから、なのはは冷静だった。 冷静に――怒りを感じていた。 相手へなのか、それとも自分へなのか、何に向けての怒りなのか、それすらも分からぬまま……なのははレイジングハートを振りかざす。 「エクシードモード……ドライブ!」 エクシードモード、なのはの強化形態であり、以前無茶をして倒れたなのはの事を気遣われ負担を減らしたモードでもある。 姿の変わったなのはに怯えるように、ゾンビは慌ててカードを発動させる。 「マジックカード……融合、手札のキャノンソルジャーと融合生物を融合し、迷宮の魔戦車召喚……」 全面にドリルが三つついた、巨大な戦車が現れなのはへと突撃する。 ―迷宮の魔戦車― 攻撃力2400 防御力2400 融合モンスター まともに食らえばなのはの体などあっさりと吹き飛ばされてしまうだろう、 だからこそ――撃ち抜く。 「ディバインバスター!」 「っ!?」 先ほどと比べ遥かに高密度、高精度になった魔力砲撃が魔戦車を貫き破壊する。 このモンスターはなのはが撃ち負けたバスターブレイダーにも迫る攻撃力をもっていたはずだが、それがあっさりと倒されたことにゾンビ達はわずかに動揺を見せた。 「レイジングハート、一気に片付ける!」 『All right!』 ゾンビが次の手を打つよりも早く、なのはは高速移動魔法で天井近くまで舞い上がりゾンビ達が全員見渡せる位置で構える。 なのはが魔力を解き放つ寸前になってようやく何匹かのモンスターが召喚されるが――遅い。 「アクセルシューター……広域爆撃!」 ティアナのクロスファイアを遥かに超える、視界を埋め尽くすほどの魔力球が放たれる。 いくらなのはであっても、この量の魔力球を制御しきることは不可能だ、 ならばどうするのか――簡単である、制御しなければいい。 「シュート!」 無数の魔力球、それが全てなんの制御も受けずに落下していく! 誘導制は確かに0だ、だが、この目の前全てが桃色の光に埋め尽くされている状態で、魔力を扱えない人間にそれが何の気休めになるだろうか? 数秒後……そこには倒れ伏したゾンビ達と、ゆっくりと降りてくるなのはの姿があった。 「私のターン! 魔法カード、篝火を発動、デッキからレベル4以下の炎属性モンスター、燃える藻を一体手札に加える……さらに、魔法石の採掘を発動!」 「二枚カードを捨てて墓地の魔法カードを一枚手札に加えるカード……まさか!?」 「そう、私は二枚の燃える藻を墓地へ捨て、篝火を手札に加える。そして燃える藻の効果発動! このカードが墓地へいった時、相手のライフを1000回復する!」 「その効果は……レフィケルによって逆転する!? 十代!」 「ぐわぁぁぁぁぁ!!!」 「さらに、サディスティックポーションの効果でレフィケルの攻撃力アップ!」 ―十代 LP950― 大幅にライフを削られ、十代は堪らずその場に膝をつく。 「なんてデッキだ……バトルをせずに、どんどんライフを削られていく……!」 「まだよ、私はもう一度篝火を使い三体目の燃える藻を引き、攻撃表示で召喚! さあ、フレイムウイングマンに負けてらっしゃい!」 ―燃える藻― 攻撃力500 守備力1500 効果モンスター 燃える藻ではフレイムウイングマンには勝てない、そしてそのまま墓地に行けばレフィケルによるコンボによって十代は敗北する…… 咄嗟に十代は場のカードを発動させてその攻撃を凌ぐ。 「トラップカード、HEROバリア! E・HEROへの攻撃を一度だけ無効にする!」 「よし、なんとか凌いだ……!」 「ふふ、でもレフィケルの攻撃は防げないわよ?」 鮎川の言葉と同時に、レフィケルの髪が刃となってフレイムウイングマンを斬り裂き破壊する。 ―十代 LP650― 圧倒的に有利な立場となり、鮎川は笑みを深くし――十代も笑みを浮かべる。 「っ!?」 「トラップ発動! HEROシグナル! デッキからE・HEROと名のつくレベル4以下のモンスターを特殊召喚する!」 「なっ、十代正気か!? お前のライフじゃ、何を呼び出しても致命傷だぞ!」 「俺はワイルドマンを特殊召喚!」 ヨハンの忠告を流し、一人の屈強な戦士が召喚される。 ―E・HERO ワイルドマン― 攻撃力1500 防御力1600 効果モンスター 「ふふ、この瞬間、ダーク・キュアはつど――発動、しない!?」 「ワイルドマンは孤高の戦士、罠になんかかからないぜ!」 「トラップを無効化するモンスター……!」 「更に魔法カード、天使の施しを発動! カードを三枚引き、二枚を捨てる」 引いたカードを見て十代は笑みを増す。 このターン十代に効果ダメージはないため、レフィケルの攻撃力は1400のまま…… 「いけ! ワイルドスラッシュ!」 「くっ!」 ―鮎川 LP3900― 鮎川のコンボの基点であるカードを破壊するが、十代は攻撃の手を緩めない。 「伏せカード発動、リビングデッドの呼び声! 墓地からエッジマンを特殊召喚する!」 ―E・HERO エッジマン― 攻撃力2600 守備力1800 効果モンスター 天使の施しによって墓地にいったエッジマンが場に召喚され、更にアンチ・キュアの効果で十代のライフも回復する。 ―十代 LP1950― 「しまった……!」 「いいぞ、レフィケルがいない今、回復効果はそのまま適用される!」 「まだまだぁ! エッジマン、燃える藻に攻撃!」 「くぅっ!」 ―鮎川 LP1800― ―十代 LP2950― ライフポイントで逆転され、鮎川は顔を顰め――続けて出された十代のカードに動きを止める。 「速攻魔法発動! 速攻融合! 場のワイルドマンとエッジマンを融合し、ワイルドジャギーマンを召喚!」 ―E・HERO ワイルドジャギーマン― 攻撃力2600 守備力1800 融合・効果モンスター ―十代 LP4250― 「これで、止めだ!」 「きゃああああ!!」 ―鮎川 LP0― ワイルドジャギーマンの攻撃を受けて鮎川が倒れ伏す。 だが、その一撃が止めとなり、デュエルの余波を受け続けていた保健室が崩壊を始めてしまう。 「や、やばっ!」 「十代、こっちだ!」 レイを抱きかかえたままヨハンが駆け出し、十代もそれに続く。 保健室の扉はゾンビ達が塞いでいたが、この崩壊によって崩れてしまった壁から外に脱出する。 「いってぇ……よ、ヨハン! レイは無事か!?」 「ああ、よく眠ってるよ」 「はは……こんな状況で寝てられるなんて、大した奴だぜ……っ!?」 呟きながら保健室を振りかえり――硬直する。 保健室「だった」場所は瓦礫の山となっており、十代は鮎川や他のゾンビ達が潰されてしまったのではないかと慌てて駆け寄ろうとするが―― 「逃がさないわよ……十代君……デュエルしましょう……!」 「あ、ゆかわ先生……」 瓦礫の山から這いずり出てくる姿に、十代は恐怖する。 その姿は本当にゾンビのようで、そんな状態でもデュエルをしようと近づいてくる。 「十代君、ヨハン君!」 「なのはさん!?」 なのはは無事な三人の姿を見て胸を撫で下ろすが、鮎川達が立ち上がろうとするのを見てヨハンからレイを受け取る。 「急いで体育館へ!」 「で、でもオブライエン達は!?」 「大丈夫、みんなには誘導弾を送っておいた、安全なルートを見つけられるはず!」 「よし、十代行くぞ、ゾンビ達が集まってくる!」 「スバル……生きてる?」 「なん、とか……」 「キュル―」 体育館まであと少しの所まで来ながら、スバル達は通路の影に隠れながらへたり込んでいた。 完全に体力と魔力を使い果たしてしまっていた、フリードが心配そうに鳴くが、それに応える余裕さえない。 とにかく少しでも回復を……そう考えた直後、まるで眼球のようなモンスターが二人の目の前に現れる。 ―異次元の偵察機― 攻撃力800 守備力1200 効果モンスター 「なっ――!」 「ティア、来るよ!」 影から顔を出すと、ゾンビ達がこちらに向かって真っすぐにやってきていた。 目の前のモンスターは行動をしようとせず、ただ辺りを漂うだけだ、 ――このモンスター、まさかレーダーの役割を!? ティアナはすぐさま撃ち落とそうとするが、腕は上がらず、魔力球も生成できないことに気づく。 「まずっ……チビ竜!」 ティアナの合図でフリードがモンスターを破壊する。 だが、すでにゾンビ達はすぐそばまで来て――突然現れた恐竜に吹き飛ばされた。 「え……!?」 「よかった、間に合ったザウルス!」 剣山が二人へと駆け寄り、エリオとフェイトを抱え上げる。 呆然とする二人へ少し申し訳なさそうにしながら説明する。 「キャロちゃんには二人を信じるって言ったけど、俺に混ざっている恐竜さんのDNAが何かを伝えてきたんだドン」 「きょ、恐竜のDNA……!?」 「それで二人を助けにきたザウルス、俺について来て欲しいドン!」 二人が色々と突っ込むより先に、剣山は呼び出したモンスターの後に続き走りだす。 慌てて二人も限界を告げる体を酷使しながら後に続いていった…… 続く 十代「やばいぜ、みんな空腹が我慢できなくなってきちまった!」 なのは「みんな落ち着いて! ここで仲間割れをしても意味がないよ!」 次回 リリカル遊戯王GX 第九話 学園分裂!? 腹ぺこデュエル! 十代「こうなったら、ヨハン達に全てを託すぜ!」 なのは「おかしい、このデュエル……まるで私たちの目を集めるかのような……」 なのは「今回の最強カードはこれだよ!」 ―フリードリヒ― 光属性 ドラゴン族 ☆4 攻撃力1300 守備力800 このモンスターが召喚された時、相手の場の魔法・罠カードを一枚破壊することができる。 なのは「フリードの真の力はキャロがいた時に発揮されるんだ♪」 十代「次回もよろしくな!」 前へ 目次へ 次へ
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世紀末覇王伝ヘルガッチャ イヤッッホォォォオオォオウ!シリーズ 遊戯王GX×テニミュ 再現系MAD ファイナルファンタGX グルメレース 三原色は色料ならば黒へ色光ならば白へ混ぜ方しだいで数多の色へ…、 色んなキャラが出てきて色んな事があったGXの思い出集大成といえるような、そんな素敵な作品 ユベル編のPV風MAD。このかっこよさはなんだ!? 同窓会のお知らせです!小ネタも満載で楽しいMAD!